第455話 若返りの実

隣に住むお爺さんが、鉢植えに植えている何かを大切に温室に入れていた。気になった私は、お爺さんに聞いた。


「おはようございます。あの、大切そうにしているそれは、一体何を植えているんですか?」

「これかい?これはね、若返りの実だよ」

「ええっ?若返りの実?」

「そうじゃそうじゃ。ワシはな、若返りの実を食べて何度も若返っておってな。もう今年で200歳になるんじゃ」

「またまた冗談を」


するとお爺さんは、ムッとした表情をした。


「冗談ではないぞ。ワシはな、嘉永6年(1853)。あの当時、黒船がやってきて、ペリー提督をこの目で見たんじゃからな」

「ええー!?嘘だ!!」

「じゃったら若返りの実が成ったらひとつ分けてやろう」


そうして分けてもらった若返りの実を私は食べた。すると私は、赤ん坊まで戻ってしまった。


「オギャー!オギャー!(どうしてくれるのよ!)」


私は泣く事しかできなくなった。

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