第453話 君はもっと強くなれるよ
入門した当初、君は竹刀さえまともに持つことができない程、とても非力な少年だった。
正直な話をしよう。
君は剣道に向いていない。
私は最初、そう思った。
だがそんな君は、毎日の練習を真面目にこなして竹刀を持つことができるようになった。そして君の才能を肌で感じたのは、あの時の初めての試合だった。
相手は格上で体格も大きな選手だった。
そんな相手との試合の時――
君は――
君という奴は――
「やぁああああああああああ!!!!」
私は、その気迫に圧倒された。腹の底から出る気合の入った声が体育館中に響いた。君は、相手に対して絶対に負けないという気迫。格上の相手への恐怖心を超えるという剣道の精神に最も必要な素養を持っていた。君は試合に負けたが、私は久々に本物の剣士の姿を見た。
「素晴らしい」
そして私は、最強の剣士の条件を君に話した。
大丈夫。
君はもっともっと強くなれるよ。
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