第435話 ラブレター入門書

好きな子がいる。彼女に想いを伝えたいが、どう伝えればいいのか分からない。彼女は図書委員だ。大人しくて目立たない子だが、凄く魅力的な子だ。俺は特に本が好きな訳でもないのに、彼女目当てで学校の図書館に通いつめた。


「ああ……もう読みたい本ねぇよ……」


図書館に通い続けた俺は、ついに興味のある本がなくなった。だが本を借りない事には、彼女と話す事ができない。大量の本が並ぶ本棚を見ていると、ふと一冊の本に目がいった。


「ラブレター入門書?」


俺は手に取り、それを読んだ。図書委員をやっている彼女の事が好きなあなた。彼女は本が大好きです。読書が好きでもないのに、今まで色々な本を読んだあなたが面白かった本の感想を聞かせてくれる事を彼女は待っています。


そう言って彼女の方を見ると、彼女がじっと俺を見つめていた。

そうか。この本を作ったのは、彼女だな?

俺は彼女に近づき、本の感想を伝えた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る