第397話 食欲の秋

最近、食べ物がおいしすぎる。とにかく食欲が止まらない。だって秋だもの。栗に秋刀魚、松茸に柿。美味しいもので溢れている。


「なぁ。お前、最近また太ったんじゃないか?」


夫は、耳の痛い事を言う。でも仕方ないじゃない。今年の秋は、一生で一回限り。もう二度と訪れないのよ。だったらその時の美味しいものを食べなくちゃ人生損するじゃない。


「そうかしら?気のせいじゃない?」


私はそう答えて秋の味覚を満喫するのだった。


「たまには、読書の秋でもやってみたらどうだ」


夫は呆れながら私に言った。


「そうね。それもいいかもしれないわ」


私は本屋さんへ行った。そして本を買ってきて家に帰ってきた。


「美味しそう……。今晩の夕食は、炊き込みご飯ね」


私が買ってきたのは、料理本だった。


「あなたが言うように読書の秋を堪能してるわよ」


夫は、やれやれと呆れ果てていた。

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