第380話 記憶力

私は記憶が苦手だ。国語の漢字や英単語といった暗記科目がダメで、いつも成績は悪かった。今日も酷い点数を取り、落ち込みながら家へと帰っていた。


「おや?お姉さん。お困りだねぇ」

「えっ!?」


話しかけてきたのは、白い鳥だった。


「記憶力が良くなりたい。そうだね?」

「どうして分かるの?」

「私は鳥の姿をしているけど神だからね。どうだい?私が記憶力を良くしてやろうか?」

「お願いします」


こうして私は、神様に薬を貰い、記憶力を良くしてもらった。勉強は面白いように進み、私は学年トップの成績になった。すると私は同級生から妬まれ、いじめられるようになった。だけど少し耐えれば大丈夫。だってもうすぐ卒業なんだから……。


私は学校を卒業し、難関大学へ進学し、そして一流企業へ就職した。


だが……

私の頭の中では、嫌な事を忘れる事ができない。

私は、記憶力が悪いのは、とても幸せな事なのだと知った。

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