第377話 女心と秋のホラ

私には好きな人がいる。小さい頃からの幼馴染の男の子だ。彼が行くからという理由で高校も同じ高校を選んだ。私達はいつも一緒に登下校をしている。


「あー、やべぇな。一時間目、数学のテストじゃん」

「私は楽勝かな」

「さすが優等生は自信たっぷりだな。お前さ、頭良いんだしもっと上の高校狙えたんじゃないの?」

「いいよ。学校なんて通学のしやすさで選ぶものだよ。近い方がいいでしょ」

「まあな。俺もそれで選んだんだけどな」


実は嘘だ。私は通学のしやすさでなんか選んでいない。もしも通学に電車を使ったりして時間がかかるなら、その時間を利用して勉強したりする事も出来る。だから私にとって通学時間なんて苦ではない。この学校を選んだ本当の理由は、あんたがいるからなんだよ。


「女心と秋のホラ……か」

「えっ?」

「な、なんでもないよ」

「女心と秋の空って言ったよな?」


口に出ていた。私は彼をおいて走って逃げた。

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