第344話 二人の戦い
「お前に俺を捕まえられるか?」
目にもとまらぬ素早い動きで、私の前を何度も通り過ぎて挑発してきた。
「望むところよ!!」
私も臨戦態勢になった。ヤツは、左右に揺さぶりをかけてきたと思ったら上下にも揺さぶりをかけてきた。なるほど。左右だけの単純な動きではないという事ね。
ならば……
私は右手に持った叩き棒だけでなく、左手にも武器を携える。それはスプレー缶。
「二刀流よ。右手にハエ叩き棒、左手に殺虫剤よ。殺虫剤は広範囲。これであなたも終わりよ!!」
「ま、待ってくれ。参った。参ったよ。降参だ。殺虫剤はやめてくれ。悪かったよ。俺が調子に乗りすぎた。だから頼む。手打ちにしてくれ」
「しょうがないわね。ならさっさと出て行きなさい」
私は部屋の窓を開けた。
「ありがとよ。人間にも良い人はいるもんだな」
「あんた、もう人の家に入るんじゃないよ」
私の能力。それは虫と話せる事だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます