第345話 罠師

近頃、農作物が野生動物にやられている。精鍛込めて作ったのに収穫前にこんな惨状になるだなんてあんまりだ……。仕方がない。あまり気は進まないが奴に頼むか。


「――という訳で罠を作って欲しいんだ」

「まあいいけど俺の罠は高くつくぜ?」

「それは止むを得ん……」


私が頼んだのは、腕の良い罠師だった。奴の仕掛けた罠には、確実に獲物が引っかかる事で評判だ。おそらくイノシシか何かだろう。イノシシなら罠で捕まえて鍋にして食ってやる。


そして罠師は、罠を仕掛けた。

次の日になった。


畑の様子を見に行くと罠にかかっていたのは、中年の男だった。


「どうやら罠にかかったみたいだな」

「どういうことだ?」

「この畑の荒らされ方、少し不自然だ。これは、人間が野生動物が畑を荒らしたように見せかけたと俺はピンときた。だから人間用の罠を仕掛けた。そして見事に盗人がかかった」


こうして犯人を逮捕する事ができた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る