第297話 ラムネ

夏といえばラムネだ。そんな事、昔から決まっている。冷蔵庫からキンキンに冷えたラムネの瓶を手に取る。ラムネを開ける時は、よく振る。振って振って振りまくる。そして栓になっているビー玉を押し込むと、一気に炭酸が上がってくる。炭酸が上がってきて瓶から溢れてくるまでに素早く口を持っていって飲む。この溢れるか溢れないかというギリギリの緊張感を楽しむのが本物のラムネマニア。そしてラムネを飲んだ後は、蓋を開けてビー玉を取り出して集める。集めたビー玉達は、この夏のかけがえのない宝物になる。


「じゃあまたね!」

「うん!また明日!」


好きな女の子と遊んだ帰り道、またラムネを買って帰る。コツコツとラムネを飲んではビー玉を取り出し、集めていく。そして……


「これあげる」


俺は好きな子に集めたビー玉をプレゼントする。


「えっ、いらない」


俺の恋心は、まるでラムネの炭酸のように弾けて消えていったのだった。

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