第296話 丘サーファー

モテたくてサーフボードを買った。しかし残念ながら俺は運動音痴だ。練習したところでサーフボードになんて乗れるはずもない。だからサーフボードする振りをして砂浜を歩くだけの丘サーファーだ。俺の顔はそこそこイケてるし、この夏に向けて筋トレもしてきた。結構努力したと思う。だから可愛い子、俺に気づいて!!

砂浜には沢山の水着ギャル。そこそこイケメンで良い体つきをしている俺の方を……


「見ない!!どうして!!」


俺は思わず叫んでしまった。すると女の子達が一斉にこっちを見た。

今だ!!

今こそ何かアピールしなくては!!

俺の手にはサーフボード。

……あれ?この流れ、まさか波に乗って格好良くサーフボードに乗れっていう空気?

無理。乗れない。女の子達の視線が痛い。こうなったら最後の手段。丘の上でサーフボードに乗った。


「俺が伝説の丘サーファーだ!!」


女の子達が笑った。俺は、浜辺の視線を独り占めした。

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