第270話 裏保険

社会人になって3年。保険に入ろうと思い、最大手の保険会社、赤色生命の窓口へ行った。


「――説明は、以上になります」

「なるほど。その保険に入ります」

「ありがとうございます。実はですね、保険に入って頂いたお客様にもうひとつの保険というのをご案内しておりまして」

「もう一つ?」

「裏保険というものがございます。人生何が起こるか分かりません。何らかの事件や事故等のトラブルでお客様に金銭的な負担が発生した時、いわゆる裏金で解決する必要がある時に、その分を代わりにお支払いするというサービスです。入られますか?」

「はい」


その夜、テレビからテロップが流れた。赤色生命が巨額詐欺事件に加担していたというニュースだった。赤色生命の裏保険の資金源は、高齢者の3K「健康」「金」「孤独」を巧みに利用して高齢者からお金を騙し取ったものだった。そしてそのお金を若者の問題解決の資金にしていたのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る