第269話 幽霊船
満月の夜になると幽霊船が見えるらしい。そんな噂を聞いた俺は、満月の夜に海に来ていた。幽霊船を一目見たい。しばらく夜の静かな海を眺めていると、突如、霧が現れた。そして辺りが見えなくなった。しばらくすると霧が晴れた。そこに一隻の船の姿を見つけた。あれが幽霊船か。間違いない。やっぱりあの船だ。俺は泳いでいき、幽霊船に乗り込んだ。そして叫んだ。
「ルカ!!いるんだろ?ルカ!!返事しろ!!」
四年前、福引きで当てた豪華クルーズのペアチケット。俺はそこに幼馴染のルカと行った。だが船は、岩礁に乗り上げて沈んだ。沈んでいく船の中でパニックになり、ルカとはぐれた。救助された人の中にルカの姿はなかった。ずっと後悔していた。ルカにもう一度会いたい。目撃された幽霊船の特長があの船と似ていた。だからもしかしてと思った。
「やあ、レオ」
「ルカ……」
俺は、もうお前のそばを離れない。
船と共に俺も消えた。
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