第248話 蝉の声
夏の猛暑が容赦なく襲ってくる日だった。こんな日はクーラーの利いた部屋でのんびりして過ごしたいが、そういう訳にもいかなかった。冷蔵庫の中に食材が全く入っていない。買い物に行くしかないのだ。外に出ると蝉の声が聞こえてきた。
ミーンミーン!
夏だねぇ。
ツクツクボーシ!ツクツクボーシ!
ツクツクボウシも鳴いているな。
ネバギブアップ!ネバギブアップ!
「……ん?なんだ、今の変な鳴き声」
俺は妙に気になってしまい、ネバギブアップ!と聞こえた木の方へと歩いていく。すると一匹の蝉が片足だけで木に捕まり、今にも落ちそうなギリギリのところで耐えているのが見えた。
「諦めるな!!ネバギブアップ!ネバギブアップ!」
その声を発しているのが今にも落っこちそうな蝉の声だった。
俺はその落ちそうな蝉を掴み、木に戻してやる。
「アリガトゴザイマス!アリガトゴザイマス!」
蝉はそう鳴くのだった。
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