第223話 おばあちゃんの栞

月に一度、母に連れられて、おばあちゃんの家に行くのが好きだった。おばあちゃんは、僕をとても可愛がってくれた。いつも僕の為にお菓子やジュースを用意してくれるし、おこづかいもくれる。幼稚園の時、僕は初めて幼稚園で作った本の栞をおばあちゃんにプレゼントした。絵は下手くそだった。それでもおばあちゃんは、とても喜んでくれて「本はあんまり読まなかったけど、これから沢山の本を読むようにするね」

と僕に言ってくれた。そんなおばあちゃんは、僕が小3の時に亡くなってしまった。僕は泣いた。おばあちゃんの遺品を整理している時、おばあちゃんから僕宛の手紙が出てきたと母が言った。


たっくんへ

たっくんが幼稚園の時に作ってくれた栞を使う為に、本を読むことにしました。今まで本はあまり読まなかったけど、この歳になって新しい趣味に出会えました。たっくん、本当に良い物をプレゼントしてくれてありがとうね。


僕はまた泣いた。

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