第222話 鶴賀家の呪い
鶴賀家には呪いがある。僕がそれを教えられたのは、5歳に満たない時だった。鶴賀家の人間は、陰陽師であるご先祖様が悪霊から受けた短命の呪いのせいで、30歳までしか生きられない。だから人生に悔いが残らないように精一杯生きるのよと母に言われた。ショックだった。その日は、布団にくるまって泣きまくった。死の恐怖が僕を襲ってきた。父も30歳で亡くなった。そんな僕は、18歳で結婚した。暖かな家庭を持つのが僕の夢だった。だから少しでも早く結婚したかった。その年には、子供が生まれた。あと12年。どうしても自分の寿命を逆算してしまう。この子の中学の入学式には、僕は参加できないのだ。だからせめて精一杯、この子との時間を大切にしよう。色々な場所へ行き、思い出を作った。もうすぐだ。もうすぐ僕は死ぬ。鶴賀家の呪いを知りつつも僕と結婚してくれた嫁、楽しい思い出をくれた子供。最高の人生だった。人生は時間ではなく、質なのだ。
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