第217話 私のお墓の前で泣いてください

本当に……。お前は強い子だ。

お前は毎日、私の墓参りに来てくれる。それだけでも十分に嬉しい。私の死後もこんなに想ってくれているなんて、私はなんて幸せ者なのだろうか。


「……泣いてくれ。頼むから」


もちろん死んだ私の声が、お前に届くはずもない。でも言わずにはいられなかった。お前はいつだって、悲しい気持ちをグッとこらえて平気な振りをしている。


だから……


「泣いてくれ。泣いたっていいんだ。お前は、心に辛い気持ちを溜め込みすぎている。我慢しすぎだ。泣く事は、悪い事じゃないんだ」


「うっ……ううっ……ぐすっ……。お父さん……ううっ……ううっ…うわあああああ」


やっと泣いてくれた。私はほっとした。


「……お父さんの……声が聞こえた……。近くで見ててくれてるんだね」

「ああ、見てるぞ。ずっとお前を見守ってるからな」

「ありがとうっ……」


もしかすると、私の声は届いていたのかもしれない。

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