第217話 私のお墓の前で泣いてください
本当に……。お前は強い子だ。
お前は毎日、私の墓参りに来てくれる。それだけでも十分に嬉しい。私の死後もこんなに想ってくれているなんて、私はなんて幸せ者なのだろうか。
「……泣いてくれ。頼むから」
もちろん死んだ私の声が、お前に届くはずもない。でも言わずにはいられなかった。お前はいつだって、悲しい気持ちをグッとこらえて平気な振りをしている。
だから……
「泣いてくれ。泣いたっていいんだ。お前は、心に辛い気持ちを溜め込みすぎている。我慢しすぎだ。泣く事は、悪い事じゃないんだ」
「うっ……ううっ……ぐすっ……。お父さん……ううっ……ううっ…うわあああああ」
やっと泣いてくれた。私はほっとした。
「……お父さんの……声が聞こえた……。近くで見ててくれてるんだね」
「ああ、見てるぞ。ずっとお前を見守ってるからな」
「ありがとうっ……」
もしかすると、私の声は届いていたのかもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます