第202話 ジェントルマン

満月が奇麗な夜だった。私がこの変態と出会ったのは……。


「こんばんは。今日は月が奇麗ですね」


そう話しかけてきたのは、長いフロックコートにシルクハット。杖を持ったチョビ髭。まるで中世から迷い込んできたんじゃないかと思うような英国紳士だった。


「おや、とても美人さんだ。どうです?明日、一緒に美味しい紅茶でも――」


私は暇だった事もあり、ジェントルマンと明日会う約束をして別れた。次の日になった。


「ここの紅茶が美味しいんですよ。公園のベンチで座って綺麗な景色を見ながら飲みましょう」


ベンチに座ろうとしたらジェントルマンが、サッとハンカチを広げた。


「さあこのハンカティーフの上に座ってください」


そして紅茶を飲み、ジェントルマンと歩く。そして私の歩く先に水貯まりがあった。


「危ない!水たまりが!……さあ私を踏んで歩いてください」


ジェントルマンは、水たまりの上にダイブした。

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