第182話 見えたか?
上司と一緒に車で走っていた時だった。
「お、おい……。今の見えたか?」
「は、はい。見えました」
「足のない女だったよな?」
「えっ?男じゃないですか?」
「真っ白な服を着ていたな…」
「えっ?赤い服でしたよ」
「何を言ってるんだ。長い髪だったよな?」
「いや、短髪でしたよ」
「お前……。さっきから何を言ってるんだ。お前にも見えたんだろう?」
「部長こそ……。部長も見えたんですよね?」
俺達はお互いそこから何も喋らず、車内は無言だった。取引先に着いた。
「お越し下さってありがとうございます。今お茶入れますね」
俺と上司。お客さん。そこには3人分のお茶ではなく、5人分のお茶が運ばれてきた。
「さあどうぞ」
2つ多い…?
「あの…お茶多くないですか?」
「後ろの白い服を着た女性と赤い服を着た男性の分ですよ」
後ろを振り返った。
「部長…。見えました。女性」
「俺も男が見えた」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます