第92話 サンダルを履いた弁護士

「だから違うっつってんだろ!俺は人なんか殺っちゃいない。何度も言わすな」

「ならどうして現場にお前の指紋と髪の毛が落ちていた?殺してないならそんなもの落ちてるはずないよな?」

「そんなの知るかよ」

「まあせいぜい腕の良い弁護士を雇うんだな」


くそっ、俺じゃない。俺じゃないんだ。俺は、弁護士に会う事になった。しかしやってきた弁護士は、アロハシャツにサンダルという格好の男だった。


「あー、だりぃ。どうも、弁護士の茂木です」


男は頭を掻きながら、だるそうに挨拶してきた。


「あんたそんな格好で本当に弁護士かよ」

「まあ一応ね…。殺人容疑かけられてんのか。あんたじゃないんだろ?」

「ああ、そうだ。くそっ…このままじゃ刑務所行きだ」

「まあ心配すんな。ちゃんと無罪にしてやっからよ。俺に任せておけ。その代わり、依頼料は高いぞ」


そして男は、アロハシャツとサンダルで法廷に現れ、無罪を勝ち取った。

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