「あー、暇だ……」

商売が成功して大富豪になったは良いものの、事業が成功してしまったら今度は暇で仕方がない。新しい事業も全く思いつかないし、これ以上お金があっても無意味だからやる意味がない。

何か面白い事はないだろうか……。

「そうだ！！汚い硬貨を磨いて綺麗にしよう！！」

長い年月をかけて、人から人へと渡ってきた硬貨は、さぞ汚れている。ならば徹底的に磨いて、綺麗な硬貨にしようではないか。これは良い暇潰しになるぞ。よしっ、燃えてきた。

私は世界中の洗剤を集め、どれが硬貨を磨くのに最適か調べた。良いブラシを使い、来る日も来る日も徹底的に硬貨を磨き続けた。

一体いつになったら終わるんだ……。

夢中になりすぎて、自分が大富豪である事をすっかり忘れていた。

かれこれ五十年。私は硬貨を磨き続けている。

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