第85話 見えるんです

大学生になり、一人暮らしをする事になった俺は、マンションに引っ越した。しかしその部屋には、男が住んでいた。


「あー…ま、まさか…」


そう、俺は見えるんです。この世の者じゃない人が。あちゃ…。物件見学の時は見えなかったのにな。マジかよ。


「今度は若い男か。大学生くらい?」

「そうだよ」

「えっ!?俺が見えるの!?俺の声も聞こえるの!?」

「ああ、そうだよ。昔から霊感が強くてな」

「頼む!!俺の未練を代わりに果たしてくれないか!」


出たよ。出た出た。そういう感じね。なんかやり残したことを代わりにやってくれってんでしょ。もうそういうのありすぎて散々なんだから。


「嫌だよ。俺も暇じゃないんだよ」

「俺の代わりに弁護士として働いてくれ。弁護士になれば食いっぱぐれもなくて儲かるぞ」


その言葉に釣られ、俺は弁護士になった。司法試験は男が教えてくれるから楽勝だった。


俺は霊感弁護士になった。

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