第19話
数日してオレは解放されることになった。佐々木の証言とオレの証言が噛み合わないが、オレの言葉を信じてくれた
「短い間でしたがお世話になりました」
「もう戻ってくるんじゃないぞ。って、こんなやり取りすると
「あの、もしまた
「まずは関わり合いにならない努力をしてね。それでも向こうからしつこく絡んできたら助けを呼んで。
「わかりました。ありがとうございます」
オレよりずっと小柄なのにとても頼りがいがある。もしも
「ん? 私の顔に何か付いてる?」
「いえ、なんでもありません」
変な想像をしたせいで無意識に顔がニヤケてしまったらしい。こんな風に穏やかな気持ちになったのは久しぶりかもしれない。
「それじゃあ元気でね。さようなら。……これは決してもう会いたくないって意味じゃなくて、私達のお世話になるなって意味で」
「はい。オレも
「もちろん。その時は善良な市民と優秀な警察官として挨拶しましょう」
「善良な市民はオレのことですけど、優秀な警察官って一体……」
「誰のおかげでこうして外の空気を吸えると思ってるのかな?」
「冗談ですって。
「わかればよろしい」
腰に手を当て真っ平らな胸を張る
「あっ! 今、中学生みたいって思ったでしょ? こう見えて……なんでもないです」
「もしかして結構年上だったりします?」
「女性の年齢を探ろうとしない!」
「でも、
「か、かわ……からかうんじゃないの!」
さっきまでの頼れるお巡りさんの姿から一転、ただの可愛い生き物へと変貌していた。
「ほら、もう行きなさい。周りからいろいろ言われるかもしれないけど、何も悪いことをしてないなら自信を持って」
「はい!」
こうしてオレは警察署をあとにした。またすぐに訪れることになるとも知らずに。
オレが大音量でバイクを走らせるようになってからは、両親とはあまり口を利かなくなった。
オレが警察で事情を聞かれている時も呼ばれたから仕方なく来たという感じで、特別会話はなかった。だからと言って勘当されたわけでもなく、バイクを運転したことでトラブルに巻き込まれたオレと関わりたくない様子だった。
だから家に向かう足取りも軽いと言えば軽い。ふつうに玄関に開けて自分の部屋に行けばいいだけなんだから。追及されたらされたで、信じてもらえなくても本当のことを話せばいい。そんな風に考えていた。
「やあやあ
背後からぬるりと声を掛けてきたのは
「……何かご用ですか?」
「用もなにも、僕らの仲間になったんだからちゃんとしたアジトに案内しようと思ってさ」
「この間の場所はやっぱりアジトじゃなかったんですね」
仕返しにちょっとだけ
「ごめんて。でも悪いのは
面倒というわりにはどこか楽しそうな
「その件なんですけど、オレが
「んー? 佐々木がしくじったのかな?」
「違います。いや、本当のところはわかりませんけど、オレの言葉を信じてくれた警察官がいたんです。その人のおかげでオレは」
「そっかー。つまりその警察官が今の
「え……オレ、その人が女性なんて一言も」
「二択の賭けてみたんだけどやっぱり当たってた?
やってしまった。
「わかった!
入る気なんてさらさらないが、少しでも時間を稼いでその間に
「考えたところでどうせ仲間になってくれないでしょ? キミみたいなタイプは直接何かするより、遠回しに攻めた方が利くんだよね」
「うん。よろしく。あんまり派手にやっちゃうと一斉に捕まる可能性があるから、あくまでターゲットは
「おい! 一体何を!」
「キミが
「入る!
「ダーメ。言ったでしょ?
「僕らもわかってるのよ。暴走族が犯罪行為だって。だからまずはその手を犯罪に染めてもらわないと仲間とは認められないわけ」
自分の血の気がドンドン引いていく。きっとこいつがオレに求めてくるのは。
「ぶち込んでほしいんだ。キミのその
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