第17話
天国って意外と暗くて嫌な場所なんだな。もしかして地獄か?
そんな風に思ったのも束の間
「よお、お目覚めかい?」
「ここは……?」
「僕らのアジト。あ、動かない方がいいよ」
暴走族って本当に倉庫をアジトにしてるんだなって感想がわいてくると共に、身体のダルさに襲われた。
「ごめんねー。逃げようとする
「迷わず後頭部を殴る潔さは評価するけど、これから仲間になる男を殴ったらダメじゃんね?」
「その話なら……うっ」
「あー、ほらほら。大人しくしてなきゃ」
「……なんで逃げようとしたのに親切にしてくれるんですか?」
「だって、僕ら仲間じゃん?」
優しい言葉とは裏腹にその瞳は冷たい雰囲気を
「さっきの加藤って人や、佐々木って人は仲間じゃないんですか?」
「仲間だよ。 対等な関係ではないけどね。僕が頭で彼らは手足。頭が動けって命令すればその通りに動かないといけないし、思い通りに動かなければ
「つまりオレも思い通りに動かなければあんな風になるってことですね」
「そういうこと」
「でも
「え?」
「キミの意志は関係ない。世間が
「それは……どういう」
頭のケガもあって全く思考が回らない。逃げ出そうにも逃げ出せない
「うーん、そろそろかな」
「よかった。これで……」
「これで
「……は?」
「よし、みんな。佐々木を置いてズラかるぞ。もし捕まったら『新入りの
「な……! おいっ!」
「
「オレだって被害者だ。警察にちゃんと事情を話せば……!」
「自分の拳を見てみな。血が付いてるでしょ? 寝てる間に塗っておいたんだ。佐々木の血を。証拠もバッチリ。初犯だし、佐々木には『先に手を出したのは自分です』って言うように指示してあるから安心して。まあ事実だしね。ちゃんと迎えに行くから」
そう言い残して
程なくして何名かの警察官が倉庫に入ってくると、オレは何の抵抗もできずに確保されてしまった。
そしてこれが運命の出会いでもあった。
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