第18話 試験直前

(こんなもんかな)


 過去問を解き終えて丸付けをする。

 手ごたえはあった。


(よし、9割は全教科取れた。)


 うっかりミス以外は特に目立った間違いは無かった。


(いやーなんか先週はめっちゃ点数悪かったから安心するわ)


 そう思いながら俺は先週解いたノートのページを見る。


(こんなん書いたっけ?誰だよこれ。織田信長って、なんかかっこいいな。)


 なのに俺が書いたであろうそれらを見る。

 確かに俺の字だし、解いてた記憶はあるので不思議だ。


(まっ、いっか。)


 俺は迫る受験まで最後の総復習をこの休日に費やすのだった。



 ****


 日曜日の夜だ。俺はすべてやり切った思いで22時には就寝する予定で過ごしていた。

 明日の朝9時から受験が開始するので8時には試験会場でもある英照に着かなければならない。

 だから7時には電車に乗るため朝6時起きだ。


 時刻は21時30分だ。風呂から上がりリビングに行き明日の準備の確認をしていたら、ピロリんっと音が鳴って俺のケータイにメールが届いたのを知らせる。


 通知は5件だった。


 1件目は正輝から「やばいやばいやばい、明日かよ。」という焦りの内容が送られてきていた。

 俺は「やばいな」とだけ返信しておいた。


 2件目は小林からだった。「なんかいける気がする。」という謎の自信に満ち溢れた内容だった。

 俺は「頭大丈夫か?」と返信を書いた。


 3件目は池崎からだった。「明日の朝ごはんカツどんになった(笑)」と全く問題ない様子の内容だった。

 俺は「いいな」とだけ返す。


 4件目は美咲だった。「約束、守ってね!」とだけ書かれていた。

 俺は「もちろん。絶対に合格しよう。一緒に学校行きたい。」

 と書いて送るとすぐに返信が返ってきた。

「私も翼君と学校通いたい(*^_^*)」

 俺のやる気はめちゃくちゃ上がった。


 そして5件目は如月翼からのメールだった。


(何だこれ)


 たぶんこれは前に自分宛でメールを書いたのが送られてきたのだろう。

 宛先を自分にして、時間指定を行って届く仕組みだ。


(だけど、俺そんなことやった覚えないな。いつ書いたんだ?)


 送信ボックスには確かに俺が送ったことになっている。送信時刻は1月31日の21時30分で時間指定されていたことがわかる。


(まっ、いっか。覚えてないけど多分去年とかに送ったんだろうな。さて、寝るか)


 そこに書かれていたのはたった一言と送り主の名前。



「頑張れよ!如月翼!!  【如月翼】」



 運命の時計は静かに時を刻み始めた。






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