パワハラ勇者の経験値を全て稼いでいた《ポイント・エージェンタ》は追放されてしまう~俺が居ないとレベル1になるけど本当に大丈夫?スキルが覚醒して経験値【1億倍】なのでS級魔法もスキルも取り放題~
第37話 四天王の実力をも超えた暗黒騎士に勝利する
第37話 四天王の実力をも超えた暗黒騎士に勝利する
「フッ。獣人を従えているだけでなく、我の一撃をも受け止める少年か……。少しは楽しめそうだな」
暗黒騎士がそう告げた瞬間、俺の背後で騎士が大きな声で叫ぶ。
「アルス君! こっちは任せてくれ! 君が思ってるほど深傷を負っていない!」
ネネの魔法のお陰で、俺とダインの位置は完全に入れ替わることに成功していた。
俺と暗黒騎士から離れた場所ではネネが回復アイテムを使用し、ダインさんはみるみるうちに傷が無くなっていた。
どうやら命に別状はなさそうだ。
ダインさん……。
彼は俺が解放出来るよう頑張ります。
暗黒騎士に剣先を向けると、彼は俺に問い詰める。
「少年。名を何という?」
「アルスだ!」
俺が名前を告げると同時に、暗黒騎士はオリハルコンの両手剣を砂漠に刺す。
「アルス、貴殿との一騎打ちを所望する」
暗黒騎士がそう告げた瞬間、俺と彼は四角の結界に包まれる。
「どちらかが倒れるまでこの結界から抜け出せないってことですか?」
「そうだ。そして外部からの助けもこない」
暗黒騎士の解説を聞いた俺は「ウェポンボックス」から武器を取り出そうとするも違和感を感じる。剣以外の武器を取り出せないからだ。
そして、ステータス画面を確認するも、やはりこの空間が原因なのか、使えないスキルと魔法が存在していた。
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剣スロット一覧
スロット1:ドラゴンスラッシュ
スロット2:????
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斧スロット一覧
スロット1:身体強化【極】
スロット2:ビッグバンスマッシュ(使用不可)
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槍スロット一覧
スロット1:乱撃
スロット2:????
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弓スロット一覧
スロット1:千里眼
スロット2:????
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魔法スロット一覧
スロット1:ファイアーボール★★★(使用不可)
スロット2:????
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「フッ。斧に弓、魔法といった攻撃ばかり続いていたが、剣は使えないのか?」
どうやら、暗黒騎士は剣で倒す以外の術はないらしい。
俺は取り出した剣にポイント・エージェンタを使用し、身体強化で一気に距離を縮める。
カキイィィィィィィン!!
「動きは悪くない……。が、思ったより軽かったな」
俺の一撃は暗黒騎士に簡単に受け止められていた。
「ドラゴンスラッシュ」無しとはいえ、暗黒竜も倒した一撃だ。
それをいとも簡単に……!?こんな相手に勝てるのか?
俺は一旦後ろに下がるも、暗黒騎士はすぐさま斬りかかってくる。
不味い……。
目の前の敵はあらゆる角度から攻撃を放ち、フェイントも交えてくるので、対処できず後手に回ってしまうのだ。
そして暗黒騎士と鍔迫り合いになった瞬間、俺は剣に体重を乗せ、全力の身体強化で押し返すも、簡単に弾かれ、砂漠に膝を突いていた。
「つ、強すぎる……!!」
「フッ。四天王を倒したと聞いたが、その程度なのか?」
「まだまだっ!!」
カキンカキンカキン!!!
今度はこちらから剣閃を次々と加えるも、俺の剣は暗黒騎士に容易にいなされてしまう。その後も、幾度となく暗黒騎士に挑んだが、彼の剣に翻弄され、明らかに押されてしまっていた。
結果、暗黒騎士のHPは殆ど減っておらず、俺の体力は半分を切る段階に到達する。
俺は肩で呼吸をするが、目の前の暗黒騎士は全く疲れを見せていない。
それがより一層、俺と暗黒騎士の間にある実力差を物語っていた。
「その剣。聖剣エクスカリバーの輝きを放っておるが、紛い物ではないか。いや違う。剣を扱う者の才がないのか……」
ここにきて俺はある一つの事実を知らしめられる。
目の前の暗黒騎士は魔王軍四天王のベルゼブブ、暗黒竜以上の強さだ。
その考えに辿り着くほど、俺は暗黒騎士に圧倒的な格の違いを見せつけられていた。
もし、魔法や斧が使えれば有利に戦況を運ぶことが出来ただろうか?
その疑問が一瞬脳裏をかすめたが、俺は直ぐに否定する。
そもそも俺は剣を扱うのが一番得意だからだ。
確かに俺は「ウェポンボックス」を取得してから剣を扱うことが極端に減った。
それでも勇者パーティに所属していた頃はひたすら剣技に磨きをかけてきたんだ。
キッと俺は暗黒騎士を見据え、再び彼に剣先を向ける。
こんなところで負けられない。
ダインさんと騎士団のため。
そして、アリシアやネネ。
みんなと一緒にいられるように強くなるんだ!
額からは血が流れ、意識も飛びそうだったが自身を鼓舞し、俺は暗黒騎士に渾身の一撃を加える。
「ぐっ……!? 追い込まれたことで、枷が解けてきたか……!!」
ありったけの身体強化を全身にかけたため、俺の剣の柄はでこぼこになっていた。
それ程までに自身を追い込んだ追撃を暗黒騎士に与え続けると、彼は俺から距離を置く。暗黒騎士が俺から退くのは初めてだ。
「フッ、強いな。アルス。我はお前を認めよう。しかし、この奥義を前にして、立っていられるか?」
瞬間、結界内が異様な寒さで満ちていく。
何だ!?この纏いつくような威圧感は……!?
途轍もない重圧から俺は動けなくなり、暗黒騎士の剣に目を疑っていた。
オリハルコンの剣が圧倒的な闇を纏っていたからだ。
「――――凶星――――!」
暗黒騎士が剣を振り下ろした瞬間、今まで見たことのない速度で斬撃が襲い掛かってくる。
あれは間違いなく不味い……。山々をも両断する一撃だ。
俺は咄嗟に二本目の剣を「ウェポンボックス」から取り出し、ありったけの経験値を付与する。
二刀流で巨大な黒い斬撃を正面から受け止めるも、あまりの重さに精神をへし折られそうになる。
ぐっ……。一瞬でも気を抜けば、全身がバラバラになりそうだ……!
これが結実した剣技を備えた暗黒騎士の奥義か……!!
「ぐあっ……!!」
俺は結界の端まで吹き飛ばされ、背中を強く強打する。
外では、ネネと回復したダインが何かを懸命に訴えているが、彼らの声は結界内部に届いてこない。
なんて一撃だ……!!
何とか致命傷は避けたが、腕の感覚が殆ど無いっ……!
「流石だアルス。我の金剛の一撃を耐えたか」
俺はゆっくりと立ち上がり、暗黒騎士に立ち向かおうとした瞬間、脳内に情報が流れてくる。
《推奨。剣スキルの取得》
ここに来て最後の剣スキルか?
それも……何故今なのか?
いや、暗黒騎士との戦闘開始時点でスキルを取得しても、恐らく意味が無かったのだろう。
俺はすぐさま剣スキルを取得し、内容を確認する。
《剣スキル「流星」を獲得しました》
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〇剣スキル《流星》
剣装備時のみ使用可能な奥義。非常に強力な10連撃を放つ。
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この切り札を使えば、今の俺でも暗黒騎士を倒せるのか……!?
俺は「ウェポンボックス」から剣を次々と取り出し、漆黒騎士に向かって槍のように投擲していく。
「何ッ!」
彼は俺の放った剣を次々と弾いていくが、奥義を使った代償なのか、反応がかなり遅れていた。
このスキルで決める!
俺は身体強化で一気に加速し、間合いを縮める。
「――――流星――――!」
俺は目にもとまらぬ速さで次々と剣を振り、最高火力の連撃をお見舞いする。
通常の何倍も速くなった剣を暗黒騎士は見切ることが出来なかった。
全身全霊の10連撃を食らった瞬間、暗黒騎士はその場から崩れ落ち、片膝を地面に突く。
「見事っ……」
暗黒騎士の呟きが聞こえた瞬間、俺を囲っていた結界は完全に無くなり、ネネとダインはこちらに駆け出してきていた。
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