パワハラ勇者の経験値を全て稼いでいた《ポイント・エージェンタ》は追放されてしまう~俺が居ないとレベル1になるけど本当に大丈夫?スキルが覚醒して経験値【1億倍】なのでS級魔法もスキルも取り放題~
第23話 神獣石を修復し、族長に里を救って欲しいと懇願される
第23話 神獣石を修復し、族長に里を救って欲しいと懇願される
施設に残った俺は一人で鍛錬を積んでいた。
「ウェポンボックス」を取得した俺だが、剣以外の武器は今まで使った試しがない。魔王軍との戦いに備え、他の武器も扱えるよう修行に時間を費やす必要があった。
斧の素振りを終え、一休みしようとした瞬間、ガシャアンッッ!!と何かが割れる音が響き渡る。異変に気づいた俺はすぐさま外に飛び出すと、何やら獣人たちが集まっていた。
俺は何があったのか群を掻きわけながら進むと、ノノが地面に膝を突き、何かを懸命に拾っている姿が視界に入る。
「ど、どうしたんですか!?」
「大変なことになった……。勇者に神獣石を壊されたのだ」
見ると、地面には無残な姿で神獣石が粉々に砕けていた。
「これをレオンがやったんですか!? 信じられない……」
神獣石はネネが使うことで力を解放することが出来るはずだ。それをわざわざ破壊するなんて目的が全く分からない。
レオンのあまりの常軌を逸した行動に、俺は呆然と立ち尽くしていると、一名の獣人がノノを探していたのか、こちらに駆けつけてくる。
「ノノ様ッ! 大変です! 勇者に指揮を委ねた結果、我が軍は壊滅状態になりましたっ!」
「な、なんだと……。それは本当かっ!?」
連絡をした獣人が首を縦に振った瞬間、周りは小さな悲鳴をあげるが、どうやら彼の報告はまだ終わっていないらしい。
「ネネ様は獣石の力を用いて何とか持ちこたえていますが、魔王軍に囲まれており、救出は絶望的です!」
「おのれ、あの勇者ッ! 絶対に許さんぞ!」
烈火の如く怒りの表情を浮かべ、駆け足でどこかに向かおうとする彼女に俺は問い詰める。
嫌な予感がしたからだ。
「あのっ! どこに行くつもりですか!?」
「決まってるだろ。今すぐ妹を助けに行く。それ相応の覚悟はしているつもりだ」
即答するノノだが、年老いた獣人達は猛反発する。
「いけません! ノノ様はあの日以来、戦場に行かないと約束したじゃないですか!」
「チッ……! 魔王軍四天王を沈めるも、私が瀕死状態になったあの日か。なら、どうする。長老たち、アンタが私の妹を救出しに行くか?」
「そ、それは……」
返答を窮する長老たちに割り込む形になってしまったが、どうしても俺はノノに話をつけたかった。
「ノノさん。俺から話があるんですけど……」
「聞くだけ聞いてみよう」
「ネネが魔王軍に囲まれている状態ですが、そもそも包囲の中に辿り着き、そこから脱出する必要がありますよね?」
「ああ。そうだ。だから私が死に物狂いで中に入り、妹を助け出す」
魔王軍に包囲されているネネの元に辿り着くだけで大変なのに、そこから脱出するとなると、どう考えても彼女の能力の範疇を超えている。
「その役目、俺に任せてもらえないですか? 戦場にいるアリシアと合流し、彼女と何とかネネの元に向かいます」
「脱出はどうするつもりだ? もし行きと帰りをお前とアリシアの力で抜けると言うなら、力づくで私もついて行くぞ」
「帰りはネネの力を借ります。俺は神獣石を修復することが出来るので、彼女の元へは自分が向かうのが適切だ……」
「アルス。悪いが、今は冗談を話している余裕はない。神獣石はもう壊れてしまったのだ。元に戻す術はない」
俺はユニークスキルの画面を起動し、能力を確認する。
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ユニークスキル:【ポイント・エージェンタ】Lv3
Lv1⇒獲得経験値上昇【大】
アンロック条件:なし
Lv2⇒獲得経験値上昇【極】
アンロック条件:剣、斧、槍、弓スキル、魔法を合計1個修得(現在3個)
Lv3⇒ポイント・エージェンタ(改)
アンロック条件:剣、斧、槍、弓スキル、魔法を合計3個修得(現在3個)
Lv4⇒LOCKED
アンロック条件:剣、斧、槍、弓スキル、魔法を合計8個修得(現在3個)
Lv5⇒LOCKED
アンロック条件:剣、斧、槍、弓スキル、魔法を全て修得(現在3個)
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〇ポイント・エージェンタ(改)
人だけでなく、モノにも経験値を付与することが可能。
武器の性能を向上させるだけでなく、破損した武器、アイテムの修復が可能。
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「試練のダンジョン」で身体強化のスキルを獲得してから、俺のユニークスキルはLv3に進化していた。ポイント・エージェンタ(改)の力を使えば、壊れた神獣石だって修復することができるはずだ。
俺はノノが握っている破片にポイント・エージェンタ(改)の能力を発動する。
その瞬間、彼女の手は光り輝き、神獣石は壊れる前の状態になっていた。
「な、何が起こっている!? 神獣石が元通りになっているぞ!!」
獣人たちは感嘆の声をあげると、ノノはその場で土下座する。
「た、頼むっ! 妹とこの里を助けてくれ! あの勇者を信じた私が馬鹿だった!!」
「ちょっ……。ちょっと……!?」
俺は涙ながらに訴える彼女の暴挙を止めさせようとするも、周りの長老たちも両手と頭を地に着けていく。
「わしらからもお願いじゃ、この里を救ってくだされ! ノノ様とネネ様は母親が急逝しておるが、幼いながらもここまで我らを導いて下さった! こんなところで命を失えば、先代に顔向け出来ぬ!」
助けを乞うため、過剰な対応を見せる彼らを先ずは落ち着かせ、俺はすぐさま決意と覚悟を決める。
「分かりました! 今すぐ戦場に向かいます」
俺は何が何でもこの里を必ず守ると約束し、魔王軍の包囲からネネを救出することを誓った。
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