パワハラ勇者の経験値を全て稼いでいた《ポイント・エージェンタ》は追放されてしまう~俺が居ないとレベル1になるけど本当に大丈夫?スキルが覚醒して経験値【1億倍】なのでS級魔法もスキルも取り放題~
第17話 「試練のダンジョン」最深部にいる最強の魔物に勝利する
第17話 「試練のダンジョン」最深部にいる最強の魔物に勝利する
里の族長に追い返された後、俺達は西にある「試練のダンジョン」に向かっていた。
「それにしても……。あのゴミはどれだけアルス様を馬鹿にすれば気が済むのでしょうか?」
ゴミ……が誰を指しているのか瞬時に理解できなかったが、恐らく彼女の言動を見る限り、レオンのことだろう。
確かにレオンがここにいるのは驚いたが、何もわざわざ俺一人の出入りを封じてまでやらないといけないことがあるのだろうか?
それに、さっきからアリシアがヒステリックになっているのも気になるな。
彼女は過去にレオンと会ったことがあるのだろうか?
二人の間には何か因縁があるように感じられるが……。
そんなことを考えると目の前に小さな洞窟が姿を現す。
「ここが『試練のダンジョン』でしょうか? ダンジョンと呼ぶにはあまりにも小さすぎる気がしますが……」
「多分、中にダンジョンと繋がる仕掛けがあるんだろう。入ってみよう」
洞窟の中に侵入すると、祠と床に書かれた魔法陣が目に入る。
「恐らくだけど、この魔法陣からダンジョンに行けるんだと思う。まあ、俺達の心が清らかでないと駄目何だろうけど……」
「アルス様なら、必ず大丈夫です! 私が絶対に保証します!」
「そ、そうかな……。ありがとう」
励ましてくれた彼女の期待に応えるため、二人で魔法陣の上に踏み込むと、一瞬にして視界が白一色に染まる。
目を開けると、俺達は光る壁に囲まれた場所に転移していた。
「試練のダンジョン」に到達したという理解でいいだろう。ダンジョンの床は上層、中層、最下層とで色が変わる。今俺達がいる場所の床は青一色なので、上層に位置しているということになる。
「『試練のダンジョン』に到着したね。取り敢えずこのフロアの魔物を見て、作戦を決めようか」
一方通行のダンジョンを進む俺達。
しかし、俺とアリシアは咄嗟に警戒レベルを上げていた。
一番最初に現れた魔物達がBランクのダークゴブリンだったからだ。
「ダークゴブリンの群れ……。一階層からこれですか……」
ダークゴブリンはただのゴブリンと違って、正面から突っ込んでこない。
攻撃時にはフェイントをかけ、俺達の攻撃も普通に躱してくる。
一匹倒すだけでも、時間がかかり、体力と魔力を想像以上に削られるのだ。
「頑張ろう、アリシア! 一体ずつ慎重にいけば必ず倒せる!」
「はい!」
勢いよく返事する彼女に、俺も自身に頑張るぞとはっぱをかける。
「やっ!」
「はっ!!」
俺とアリシアは次々と魔物を倒していくも、横にいた彼女が物凄い速さでダークゴブリンを一網打尽していくので驚く。流石剣聖だ。
ダンジョンの上層を難なく攻略し、中層に移動するも俺達は更に狼狽する。
出てきた魔物の群れがキングミノタウロスだったからだ。
確かに、あらゆるダンジョンは下に向かうほど共通して魔物が強くなるが、ここまでとは……。
「アルス様……」
アリシアは不安な表情を浮かべる。恐らく今の彼女にあの魔物を倒す術が無いからだろう。だけど、彼女が恥ずべきことは何もない。俺は明るい表情を浮かべ、アリシアを励ます。
「大丈夫! アイツは俺に任せて!」
俺は次々とキングミノタウロス目掛けてファイアーボールを放つ。
《経験値が一定に達しました。Lv396からLv397になりました》
《各ステータスを更新しました》
《スキルポイントを獲得しました》
《経験値が一定に達しました。Lv397からLv398になりました》
《各ステータスを更新しました》
《スキルポイントを獲得しました》
《経験値が一定に達しました。Lv398からLv399になりました》
《各ステータスを更新しました》
《スキルポイントを獲得しました》
《経験値が一定に達しました。Lv399からLv400になりました》
《各ステータスを更新しました》
《スキルポイントを獲得しました》
次々と呪文を詠唱した結果、全てのキングミノタウロスは消し炭になり、俺達は最下層へと到達することができた。
☆
床一面が黒色に染まっている細い通路を進むと、奥に広いフロアが見える。
「アリシア。あそこにいるのがフロアボスだ。気を引き締めて行こうね」
「はい! 恐らくキングミノタウロス以上の魔物となると、あそこにいるのはS級の災厄級になりますが、アルス様なら平気です!」
「S級か……」
彼女の言う通り、中層の魔物がキングミノタウロスであった以上、ここのボスは災厄級になってしまうのだろう。
勇者パーティに所属していた俺だが、S級との戦闘経験はない。
正直言って不安だが、「神獣の里」に入らないといけない以上、ここに出てくる魔物は必ず倒さないといけない。
絶対勝たないとな……。
覚悟を決めて広いフロアに侵入すると、全身を銀鎧に身を包んだ魔物が鎮座していた。両手には銀の剣を装備しており、大きさは俺達人間と同程度だが、物凄いプレッシャーを放っている。
「我が名はガーディアンナイト。そなたたちの超える壁として挑戦者の実力を見極めてきた。見事勝利して見せよ」
瞬間、物凄い速さでガーディアンナイトは俺達に襲い掛かり、剣を振り下ろす。
「ぐっ……!」
「きゃっ……!?」
俺とアリシアは咄嗟に躱したが、フロアの床はピシッと砕け、砂煙と爆風で吹き飛ばされる。
「ぐっ……! 何て力だ!?」
ガーディアンナイトはアリシアに向かって、二本の剣で次々と連撃を繰り出すが、彼女は捌くのがやっとの状態だ。
剣聖のアリシアと互角の剣術!?いや……寧ろそれ以上か!?
俺は彼女に助太刀するため、挟み込む形で魔物に一撃をお見舞いする。
「フッ。動きは全て我が心の目で見えているぞ」
ガーディアンナイトはアリシアの相手をしているにもかかわらず、もう一本の剣で俺の攻撃を平気で受け止めた。
キングミノタウロス同様、物理攻撃に特化した魔物か……。それも極端に。
俺はガーディアンナイトから僅かに距離を取り、すかさずファイアーボールを放つ。
この魔法に耐えた魔物は今までゼロだ。ある程度のダメージは見込めると思ったが、ガーディアンナイトの剣が光を放った瞬間、俺は嫌な予感を覚えた。
「――――ソードガード――――」
ガーディアンナイトがスキルを使用した結果、俺の巨大火球は一瞬にして消えていた。
これがS級か……。
剣で容易に俺の魔法を防御したことに俺は絶望を感じつつあった。
その後も何十回、何百回と俺達はガーディアンナイトに攻撃を加えようとするも、全てを剣で弾き、捌かれる。
不味いな……。
俺とアリシアは共に疲れを感じつつあったが、相手は全く疲れを見せないのだ。
この事実がある以上、時間が長引けば必然的にこちらが後手に回る。
「埒が明かないな……」
そう呟いた瞬間、突然頭の中にアナウンスのような声が響き渡る。
《斧スキルを習得可能にもかかわらず、まだスキルポイントが割り振られていません。今すぐ取得しますか?》
斧スキル?
確かにユニークスキルとは別に武器専用のスキルはポイントを割り振ることで入手可能だが、俺は剣と魔法にしかポイントを使っていなかった。
しかし、ガーディアンナイトを倒す術が他に無い以上、試す価値はあるかもしれない。
俺はステータス画面をすぐさま起動し、斧スキルにポイントを割り振る。
《スキル「身体強化【極】」を獲得しました》
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
〇スキル《身体強化【極】》
斧の道を極めた人物のみが使用可能。通常の身体強化の何十倍もの効果を誇る。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
身体強化のスキルか!
これならガーディアンナイトが「ソードガード」を出す前に魔法を命中させることができるかもしれない。
アリシアがガーディアンナイトと激闘を繰り広げている間、俺は身体強化のスキルを用いて、思い切り地面を蹴る。
瞬間、ボコッと床が凹み、俺は目にも留まらぬ速さで敵の背後に移動する。
「なにっ!? 『ソードガー』……」
「――――ファイアーボール――――!」
俺はゼロ距離から呪文を詠唱し、敵がスキルを放つ直前に魔法を放った。
「ぐはああああああああぁぁっっ!!」
ファイアーボールがガーディアンナイトに見事クリーンヒットした瞬間、魔物は吹き飛ばされ、石壁へとめり込んでいた。
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