第481話 nero

友里恵たちは、それから・・・ダンボールに送る荷物を詰めたり。


友里恵は「送る♪~荷物~♪」なんてふざけてるので



由香は「遊んでるなぁ」と、笑う。

何せ最終日である。夕方までに大分に着けばいいのだ。



・・・・とはいえ、列車が止まったりするコトもなくはないが(^^;

今のところ、久大本線は動いている。



「ナニ持ってく?手荷物」と、友里恵。



由香は「そんくらい考えよ」


と、数学の試験みたいな言い方(笑)。



友里恵「そーだなぁ、おみやげは送るかな。腐んないし・・・。

着替えと、洗面道具と・・・懐中ものか」




由香「懐中もの?電灯かいな」



友里恵「財布とか」



由香「ああ、懐かしいなあ。列車に書いてあったな、来る時乗った」


寝台のとこに。


お休みの時は懐中物にご注意ください



と。



カーテンだけで仕切られてる寝台だと、ありそうだけど。

乗ったのは個室であるから、そこは安心。



ダンボールに送る荷物を纏めて「よし!」と友里恵。


「ネロんとこに頼んでこよ」と、お部屋を出て・・・・。



ロビーへ。



まだ9時半。




ロビーには、ネロ。明け番。「あ、お荷物ですか?」と、笑顔。

でも、夜勤で疲れている顔。



友里恵はにこにこ「うん。ウチにね。着払いで」



ネロは赤い伝票を出して「こちらです」



友里恵は、ボールペンでさらさらと。綺麗な字。



「えっと・・・送り先は本人でいいのかな」



ネロは「送り先は書いて、差出が本人だといいけど・・もう書いちゃったんなら

大丈夫でしょ」



と、テキトー。まあ、宅配も人間の仕事なので。

郵便番号でだいたい解る。



キカイにはできない仕事。




ダンボールにそれを貼って「はい」と、ネロ。

控えを渡した。



友里恵「ネロは明けでしょ?9時で交替じゃないの?」



ネロは「はい。お見送りしてから・・・と」




友里恵「あたしを?」



ネロは、ちょっとテレ「はい」



友里恵「そっかー、かえってもメールするから教えて」と、名刺を上げた。


ネロも、自分の営業用の名刺の裏に自分の電話番号を書いて「これです」



友里恵は「ありがと、じゃねー。ネロ。はやく寝ろ」



ネロは、ははは、と笑って「おつかれさまです」



友里恵は、とととと・・・と、駆け出して。プールバーのとこの

エレベータホールに言った。



ちょっと恥かしかった。男の子とメール交換なんて。



エレベータに乗ろうとしたら、ドアが開いて。


愛紗と菜由がダンボールを抱えて「あ」



友里恵「あたし、今置いてきたー」と、脇をすり抜けて

エレベータに。


ちょっと壁のほうを向いて。



恥かしい。


なんて顔を見られたくなくて。



ドアが閉じて。




菜由は「友里恵ちゃん、どしたの?」



愛紗は「さあ・・・・・?」



友里恵は、エレベータの中で、じっとしていた。




「あれ?」


静か。




ああ・・・・行き先を押してなかった(^^)。




をポン。



エレベータが、するすると昇り始めて。





♪ぴんぽーん♪


4階。

するり、とエレベータが開くと

光、さんさん。4月の由布院。

回廊は、明るい。


もう、おでかけの人でカラ、になったお部屋を

お掃除のおばさんたちが、にこにこ。



友里恵を見て「おはようございます」



友里恵も「おはようございます!今日帰ります!ありがとうございました!」


まだ、頬が赤い。



おばさんたちは、にっこり「はい。お気をつけて、お帰り下さい」と、

四角いワゴンに、リネンを入れて。



ここのお宿は11時チェックアウトなので、結構、タイヘンかな?

なんて友里恵は思う。

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