第479話 superexpress sonic

「寝台特急の乗務ってあるの?」と、友里恵はパティに尋ねる。

ロビーのソファは、プラネッタ・ラウンジの丸い壁の外側に沿って

誂えてある。


その辺りも、この建物が出来た頃の時代を感じさせる。

重厚長大な。機関車もそうだった時代。

頑丈に作り、長く使う考えだった。



パティは「ありませーん。アレはCAではなくて、パーサー、だったか。

日本食堂の人」



由香は「いろいろあるんだね」


パティ「ハイ。よくは知らないけど・・・あの乗務員さんは、東京まで」



愛紗は「東京駅に、日本食堂ってあるね」


なにしろ、来る時にそこで食べてきたのだった。



パティは「そこまで知らないですけど」(^^)と、にっこり。



菜由は「そうだよね」と、笑顔。



パティは、友里恵たちと一緒に4階へ。

理沙は2階へ。


それぞれ、支度して11時にチェックアウトして。それからぼちぼち出かけようかと。

今日は、夕方までに大分駅に行けばいいのだから、のんびり。



フロント脇の、金ぴかエレベータではなくて

なんとなく、奥の業務用に乗ってしまったりする友里恵たち。



友里恵「なんかね、あの金ぴかは・・・。」


由香「霊柩車みたいで」



パティ「レイキュウシャですか」



友里恵「ニホンゴムズカシイデスー」



パティ「ニホンジンです」


ハハハ、とみんな、楽しそうに笑って。

理沙は2階で。「それじゃ」と。


エレベータのドアが閉じて。


菜由は「思ったけど、誰もドアの>|< ボタン押さないの」



友里恵「壊れるじゃん」



由香「それ、タマちゃんも言ってた」



友里恵「よく判るね」



パティ「タマちゃんですか」




友里恵「ニンゲンのほう」


パティ「ハイ」と、楽しそう。



由香「にゃんこのタマちゃんは?」



パティ「寝てます」



愛紗「にゃんこだもんね」



エレベータは4階に。


ゆっくり開く。





「大分から「富士」に乗って、どこで降りるの?」と、愛紗は

パティに尋ねる。


パティは「中津とか、あのあたり・・・だと、下りの特急があるから

かえって速いですね、大分に戻るの」




愛紗「そうね。別府で降りたら早すぎるし。門司まで行ったら遠すぎる」



パティ「ハイ。門司まで行くと・・・7時くらい?かな?

折り返しで・・・大分に9時だと、ちょっと遅いね。

そこから由布院まで帰ると」


なんていいながら、408号室の前まで来て。


愛紗と菜由と別れて。「なんとなく、こうなりますね」と、パティ(^^)。



友里恵「なんでだろね」(^^)。


由香「昨日一緒だったからかな」



友里恵「凸凹コンビ」



由香「蛭子さんと・・なんだっけ。路線バスの旅」



パティ「路線バスのロケ、通りませんでした?」




友里恵「あー、なんか来たって。事前に。12chから電話。

それでね、通りそうな時間に、ガラの悪い運転手は

そこの路線から外して」  (事実です。その頃筆者居ました笑)。



由香「そーなんだぁ。ガチって言ってもやっぱねぇ。イメージがあるし

会社の」







その頃・・・・大岡山の路線バスに添乗していた千秋は

木滑の仕事がスムーズなのを、感心して。


「よく、あんなにできるなぁ」と・・・・。



駅から市民病院まで行って

そこから、丘の上の工業団地まで回送・・・・。木滑は「ちょっと乗ってみる?」



千秋はのんびりしてたので「え、あ、はい」


一番前のシングルシートから、階段を使ってゆっくり降りて。



市民病院のバスロータリーから、離れたバス待機所で。


木滑は身軽に、ぴょん、と、ノンステップのフロアに下りて。

代わりに千秋が登って。運転席へ。



白い手袋をはめて。



シートを合わせて「ほとんどいっしょ」(^^)。



木滑は「オレ、ちいさいから」




千秋は、にっこり「いえ、あたし、オオキメなので」


お尻は小さいけど(^^)。



同じ制服着てると、千秋の方がすこし大きく見える(^^)。



エンジンは掛かっているので、千秋は

計器盤の真ん中にある表示機指令盤を

0009と押して、CR。



ピー。


表示機が回送、になって

方向幕、LEDのそれも



回送

OUT OF SERVICE


になった。



木滑は「よく判ったねー。それ、よく忘れるの」



千秋はにっこり「ハイ」



クラッチを切って。とっても軽い。


ティップ・シフトを「2」へ。


ぷしゅ、と、空気の抜ける音がして。


ギアが2、と、メーターパネルに表示される。



「左、右、車内よし、前アンダよし」と、指差して確認。


千秋はクラッチペダルをゆっくりつないで。



エンジン、600rpm。



するすると走り出す。

右に少し寄せながら・・・バスロータリーへ。


病院前のとおりにでる。



スムーズに走る。

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