第482話 narrow
そんな、優しい気持は、バスのメイドさん仕事から
感じるものだったりする。
食べこぼしとか、そんなものを掃除するのは
仕事とはいえ、やっぱり・・・あんまりいいものでもない。
なので、お部屋の掃除をしてくれるなんて・・・とっても
有難い仕事だと友里恵は思う。
トイレやお風呂もあるんだし(^^;
だから、汚くしない、と・・普段から思う。
まあ、バスのトイレはおじさんが掃除してくれるけど(^^)。
さすがに東山でも、そこまではメイドさんにはさせない。
回廊を、ととと・・・と駆けて友里恵は408へ。
♪メロディ・ドア♪
ただいまー、と、友里恵。
パティが、おかえり、と、ドア開けてにっこり。
「友里恵、ほっぺ赤い、熱?」と、パティは友里恵のおでこに手を当てて
「あったかいね」と、にっこり。
友里恵は、バスルームの洗面に行って、顔洗った。
お水だして、じゃばじゃば♪。
すこし・・・・冷めたかな?
バスルームにあったタオルで顔洗って「ふう」ひと息。
由香は「ネロ、いた?」
友里恵はバスルームから出てきて「うん。メアド交換してきた」と、はにかみ半分。
由香はにっこり。ゆっくり、麻のソファに座って「そっか。ボーイフレンド1号」
友里恵「そういうんじゃなくて。なんとなく。ネロが淋しいとかわいそうと思ったし」
由香「うん、いいんじゃない。リクツはどうでも。おもいやりって」
パティ「そですね」(^^)。
ゆっくりあるいてきて、窓際のスツールに座って。
窓をからから・・・と開けると
チャイコフスキーの12月、がまた聞こえてきた。
誰が、弾いてるのかな?
パティは「帰りに、ももちゃんのとこ行きます?」
友里恵「ううん」と、かぶりを振って「泣いちゃうもの」
由香「イヌとのお別れはね、辛い」
友里恵「うん、タマちゃんも・・・あ、人間の方ね。
お父さんや、お兄さんが死んだときも、なんとも思わなかったけど
知っている犬が死んだりすると悲しいって」
由香「そりゃ、おとーさんやおにーさんがDVしてたんじゃない」と、冗談半分。
友里恵「まー、親とか兄ってねー。」と、ふつうの顔に戻って。
「タマちゃんは、それで、おかーさんのトコに戻ってきたんだし」
由香「そうだね。家族って結局・・・そんなとこもあるね。」
パティ「でも、そういう人の方が・・ね。」
由香「うん、だからじゃない?職場でもタマちゃん人気」
友里恵は、野田の顔マネして「あれは人間じゃない。鉄人だ」って。
由香「そうそう・・・あ、パティね、アレは会社の指令さんの顔」
パティ「なんとなく、わかりまあす。指令さんって顔だもの」
みんなで笑う。「どーしてなんだろね。指令の顔ってあるね」
友里恵「でもさ、鉄人って鉄+人だから人間なんじゃない?」
由香「さあ・・・・・?28号とか?」
パティ「それはフルすぎますね」
友里恵「料理の」
パティ「あれは人間だ」
由香「そーだねぇ。やっぱ。野田さん学ないから」
友里恵「いーってやろ」
由香「タンマタンマ」
楽しく、みんな笑う。
愛紗と菜由は、送る荷物をフロントに預けてから
お部屋に戻って。
菜由は「身軽になったね」と、にっこり。
愛紗も「うん」と、にっこり。
TVを点けた。
土曜の午前なので、のんびりした番組。
かわいい蒸気機関車を、鉄道学校の生徒たちが
夏休みの宿題で、直して
軽便鉄道として再生、と言うルポ。
遊園地の汽車みたいなSLだけど、立派に貨物を引いて
走っていて。
工場専用線。国鉄への引込み線があり
観光列車を走らせている・・・と言う。
菜由は「へー。女の子だけで」
愛紗「すごいね」
国鉄の廃止蒸気機関車も再生し、全国の赤字ローカル線の幾つかを
観光鉄道にしたい・・・と、夢を語る、彼女たち。
愛紗は思う「あんなふうに、はっきりと目標があったらいいなぁ」と。
自身は、何かがしたい・・と思っていたワケでもなかったから。
なんとなく、バスガイドになって。
ドライバー不足で困っているから、ドライバーになったけど
怖くてダメだった。
3行で終わってしまう、自分のここ数ヶ月。
なんだったのかな、と思った。けど。
機関車に乗ってみたいと言う、目標はできた。
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