第453話 ライター

それから・・・みんなで、ひと風呂浴びて。


7時。



友里恵は「きょうは焼肉ー」



由香「お肉好きかいな」



友里恵「ももちゃんが好きでしょ」



由香「なーるほど」



スリッパで、ふかふかの絨毯を踏んで歩くと転びそうになるけど(^^)。



友里恵、408号室へ。


浴衣に羽織。旅の宿スタイル。

髪はすこし伸びてきたので、お風呂に入るときに後ろの上で纏めて。



由香は、その友里絵の髪を見て「もっと上げればトーモロコシになるぞ」



友里恵は振り返って笑う。



408号のドア・チャイムを押す。


♪メロディー♪



由香「この音楽ってさ、あのコンビニと同じで」



友里恵「そうそう、懐かしいね。あたしらも高校生だった」



マホガニーの重厚なドアが開いて、菜由が「ごはん?」



友里恵「そうそう。愛紗は?」




菜由は「すぐ来るよ」



由香「オトメは身だしなみがあるの」


友里恵「あたしはオトメじゃないのか」



由香「まあ・・・物理的にはオトメだが」



友里恵「心がBBA」



菜由「きょうはBBQ」




由香「上手くよけたな」



菜由「ははは」




愛紗は、おふろでさっぱりした顔で「ごはんね」と、にっこり。



友里恵は「旅の終わりで淋しくない?」




愛紗は、かぶりを振り「ううん。だって、これからまた旅だもん」



友里恵「又旅」


由香「あっしには、関わりねえことでござんす」



菜由「来たなぁ、あれ?パティは?」




友里恵「うん、にゃんこが淋しそうだったから。」




菜由「そっか。優しいなパティ」



由香「おかーさんがぼっちメシになっちゃうし」



愛紗「夕べもそうだったのね。」


友里恵「うん、たまちゃんが居るから」



菜由「ネコ、かわいいもんね」




とか、4人でオハナシしながら回廊を歩いて。



友里恵「じゃさ、帰ったら会社に話して、それから青森へ行くの?愛紗」



愛紗は「そのつもり」



由香「いいなぁ、またたびか」


友里恵「ごろにゃん」



菜由「それはマタタビ」



ハハハ、と笑いながら。金ぴかエレベータホールへ。




金ぴかエレベータ・ホールの前は、スツールがあって、テーブルがあって。

ローランサンみたいな婦人画があったり。



高級そうな雰囲気。



愛紗は、▽ボタンを押して「友里恵ちゃんは、明日は乗務なの?」




友里恵「そうだったと思うけど、あたしね、契約になろうかな」



愛紗「フリー?」




由香「そう、さっきね、トラベルライターに誘われて、その気になって」




愛紗は、思いだす。

一週間前の金曜日。東京駅から乗った寝台特急「富士」。

トラベルライターを趣味でしていると言う、山岡。

年老いたおかあさんと一緒に、九州へ旅行する・・・と言っていた。



「あのひとも、九州のどこかにいるんだな」と



ほんの少し前なんだけど、とても昔のような気がしている

出来事。



雨の東海道線下り、ロビーカーで少し話した。

仕事のこと、バスのこと。生き方のこと。



・・・・なんか、すごーく昔だったような気がする。



頑なになっていた自分、みたいな・・・・。そんなことを思いだして

すこし微笑む。




ぴんぽーん。


エレベータが1階に着いて。



プラネッタ・ラウンジは、もう明日の準備をされている。



意外に静かなロビーは、金曜とは言え・・・まだ、観光客は少ないらしい。



緑がいっぱいの、レストランの方でディナー・タイムであるらしい。



フロントには、だれもいない。



ふかふかの絨毯を踏みしめ、ゆっくりゆっくり歩いていく。

お土産の売店は、もう夜なので店仕舞いをしていて

冷蔵ケースに、ハムやソーセージとか・・・アイスクリームとか。


みどり牛乳もある。



「あ」


友里恵は思いだす「あのライターさんを誘ってたんだった」



由香「ああ・・・・でも、もう食べちゃったんじゃない?」


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