第431話 275列車、由布院、定発!

友里恵は、笑いながら「愛紗もさ、ネコ派なんじゃない?」


由香は「なんで?ああ、可愛がられてるのに飽きるからか」



パティは「うちのにゃんこもそうですね。」と、にこにこ。



友里恵「にゃんこいるのー?会いたいな」



パティ、にこにこ。「由布院についたら」



友里恵は、ふと・・・・三芳ららちゃんのネコ、ごまたんを思い出した。



ららちゃん、どうしてるかな・・・と、思った。

ごまたんにも、会ってないな・・・。




南阿蘇村・三芳家に遊びに来ている奈緒美は


ごまたんに振られたり、懐かれたり。



でも、今は近くでころりん、としている

ごま。



ららちゃんは「ネコは気まぐれだからねー」


なおなおちゃんは「そうだね。暑いから?」


ららちゃん「そうかもしれないね。さっきは、ご飯食べてたから

なんか欲しかったのかもしれないし」



なおなおちゃん(^^)「そこがネコだね」



ららちゃん「そかも(^^)。ネコだから許してーってか」



ハハハ、と、ふたりが笑う、ららちゃんのお部屋は

眺めのいい二階で。


遠くにお山が見える。


なおなおちゃんは「あれ?阿蘇山?」



ららちゃんは「うん。このあたり全部。阿蘇山の上」


なおなおちゃん「そうなの?」




ららちゃんはうなづいて「なんか、九州全部阿蘇山の上だって

聞いたけど」




「ふーん、物知りだね」と、なおなおちゃん。



ららちゃんは「地学の先生じゃなかったかなぁ。2組の担任の」



なおなおちゃんは「そうだっけ?授業で言ったの?・・・あの、モヒカンみたいな

先生でしょ?夏でも白い半袖Yシャツで。でもネクタイはしなくて」



ららちゃん「そう。痩せててね。物知りの人・・って感じ。先生らしい。」



なおなおちゃんは「授業はー、あんまり聞いてないし。」


ハハハ、と、ふたりが笑うと、ごまたんも、なんか、こっちを見て。

また、寝た。



なおなおちゃんは「よく寝るねー。」



ららちゃんは「寝子って言うでしょ」



なおなおちゃん「そうなの?」


ららちゃん「さあ」



楽しそうに、笑うふたり。



静かな、静かな山郷・・・・。




由布院駅に、発車メロディは無かったりする。

旧式の発車ベルが鳴るのだけれども、なんとなく、雰囲気に合う。



右カーブしている1番線ホームに停まっている275列車。

その先頭の機関車、DE10 1205。

機関室・運転席。ふたつある、左側に乗っている理沙。

計器盤の時計を見ながら、発車の合図を待っている。



ホームについている、モニター・ミラーを見た。


乗降終了のカンテラが、掲げられている。



2号車では、車掌補・文子が乗降終了合図の

カンテラを高く掲げて。





4号車、最後尾。車掌室で。


車掌・洋子はその乗降終了合図を確認。



「乗降、終了!」



由布院駅・駅員の若い女の子が白い手袋で「乗降、終了!」と。


発車ベルを止めた。




合図になっている。



2号車デッキから、文子が乗り込む。


それで、カンテラが消え、機関士・理沙に伝わる。



洋子は、車掌室妻面にあるドア・スイッチを押し下げる「ドア、閉!」





列車無線のハンドマイクで「275列車機関士、こちら、275列車車掌」





理沙は、機関室の無線マイクを取り「275列車機関士です、どうぞ」



洋子は「275列車、発車!」



理沙も「275列車、発車!」


短く汽笛をならす。



ふぃ。



「出発進行!」と、信号現示確認、軍手の左手で。ホーム・構内踏み切りの先にある信号


を見て。



主幹制御器のノッチ、1。

じり、と動力が伝わる瞬間をいなして、機関車単弁を0ノッチ。


ゆら、と編成に力が伝わるので、そこで編成制動弁を0。


上手く、衝動なく走り出せる。





4号車の洋子は「上手ね、理沙さん。」


引き出しは、かなり技量の差が出るものだ。

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