第341話 こちら、7列車機関士

その頃・・・・・鹿児島本線、下り。

まゆまゆのお兄ちゃんは、ED76-125号機の

ブレーキ・ハンドルに触れながら。

そろそろ、薩摩川内に差し掛かる。


遮断機のない踏み切りも多い。


そういうところで、人が渡っていたり・・・・することはよくある。



よくある、で済ませてはいけないのだが

都度、ブレーキを掛けていては列車が進まないのも事実だった。


自動車が横断してしまう事も、時折ある。


そういう理由で、踏み切りの多い区間は

予定より低い速度で走り・・・郊外の、例えば海岸線などで

回復運転、と言って速度を高めて運転するのが、慣わしだった。


そういう事は、学校では教えない。



薩摩の人はのんびりしているから、まず、そういう事は起きない。

どちらかと言うと都市圏に近い時に起きる・・・。



と。


列車無線に非常信号。


遠くの踏み切りで、×マークの電灯が点っている。

赤い、大きな信号灯が点いていて。


赤信号。


ATS警報が、ぢゃーん・・きんこん、きんこん・・・と警報を鳴らす。


赤いボタンを押して、警報確認。


「前方、停止!」




踏み切り支障である。



無線を入れる。


「鹿児島指令、鹿児島指令。7列車機関士です」



指令から返事。「鹿児島指令です、どうぞ」



「7列車、薩摩川内にて踏み切り支障発見。確認に向かいます、どうぞ」



列車位置はCTCで確認されている。



指令は「了解」


後続列車に無線連絡をする。



「1724M、1724M、鹿児島指令」



「1724M車掌です、どうぞ」



「1724M、先行列車が薩摩川内駅付近で踏み切り支障発見。

信号現示、待機にて宜しく。」



「1724M車掌、了解。」


「1724M運転士、了解。」



「以上、鹿児島指令」



75km/hで走っていたので、余裕を持って停止する。


非常ブレーキは使わず、常用最大で十分。



遠くから発見できたため、である。


編成直通電磁弁を、解放。


ぐぐっ、と・・・後ろから引かれるように停止。

機関車単弁を、少し送らせて停止位置へ。



踏み切りの50m程度前で停まる。



これはノウハウなのだが、踏み切り支障確認は・・・徒歩で行うので


あまり遠くに止めてしまうと、走っていくのもタイヘンだ(^^;



踏み切りを超えてしまったら大事故の可能性もあるが。




お兄ちゃんは、運転席を降りて

通路を通って、側面にあるドアから降りた。

ステップを降り、レールの脇に飛び降りる。




犬走りと言われる・・・レールの脇にある平らなところを走って、

踏み切り確認に向かう・・・。





九州の朝は遅い。

まだ薄暗い踏み切り・・・。


駆けて行った。




すると・・・・。


農作業に向かうのだろうか、大きな籠を背負ったおばさんが

踏み切りの手前に座っていて。


若者が、立っていた。



お兄ちゃんは「ああ、良かった。大事に至らなくて。」




おばさんは「すみません・・・足を取られてしまって」



踏み切りの中でも、レールの間に足を挟んで転ぶ、なんて事はある。


たまたま、警報機が鳴って

びっくりする、なんて事はある。


たまたま、自動車で通りかかった若者が

非常ボタンを押して、おばさんを助けた・・・と言う。




自動車は、一見、暴走族のような

430型といわれる日産セドリック。


若者は、リーゼントに皮ジャンパー、と言う

風体の良くない感じだったが。テレ笑い。




お兄ちゃんは「ありがとう。キミのお陰で事故にならずに済んだ」


若者は、俯いて、いや、と笑う。



もし、発見が遅れていたら轢死だ。と・・・お兄ちゃんは思った。


本当に、彼のおかげだ。


助けてもらえずに、踏み切りにうずくまっていて

非常警報も無かったら・・・。








KKR由布院の、友里恵は・・・。


「ごはん♪ごはん♪」と。408号室に向かう。



由香も一緒「ごはんの歌、作れば」(^^)。




パティは405に行って。「ロッキードもってくる」



由香は「?、ああ、お食事券か」(^^)。


友里恵「陰部を使うなぁ」



由香「隠語〇陰部×」



友里恵「ついつい・・・」



由香「普段使ってる言葉が出るんだよ」



友里恵「予測変換かい」




由香「そうそう、ヘンな言葉使ってるとそう変換されるからなー」



友里恵「ハハハ。由香、カギ」




由香「あれ?友里恵が持ってンじゃない?」



友里恵「持ってないよ」



由香「じゃ、また・・・・部屋の中かいな。(^^;」



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