第317話 あ、そう

レストランは、エントランスから見て左がわの一番奥で

大きな硝子窓。植え込みが生い茂っていて

外からは見えない。

昼間はカフェになっているらしく、オープンテラスもあり

由布岳がよく見えるお庭で、お茶を頂ける・・お洒落なつくり。

夜は、屋内で。

けっこう広いスペースで、落ち着いた木の室内。

間仕切りがいくつもあり、各々のテーブルは見渡せないあたり・・・も


「ちょっと、秘密っぽくていいかも」と、友里絵。


由香は「逃避行とか」


「ともだちーにもうーちあけるなー♪」と、友里絵。


菜由「それはさすがに誰も分からんだろ」


「ははは」と、友里絵。




ともちゃんは「秘密の花園」と、にんまり。


友里絵は「ひとりで指あそび」



由香は「どーしてもソッチへ行くなあ」



パティは「なにそれ?」


さかまゆちゃんは「どこかしら、お席」



さっきのフロントさん「いらっしゃいませ」と、にこにこ。

ちょっとふんわりメの、メガネのお兄さん。


友里絵は「こんばわー」と、にこにこ。



フロントさん「お部屋は・・・408でしたね」と、覚えられていて(^^;



友里絵「ハイ。みんな一緒なの。407,406,405」



フロントさんは「あちらの奥がお席です」と、ご案内されたのは

間仕切りが立っていて、仕切られた奥の、窓際テーブルふたつ。

8人ぶん。



愛紗は「はい。ありがとうございます」と。


7人でぞろぞろ・・・。(^^;




大きな木が、鉢植えになってて。

なんとなく懐かしい、昭和ふう。



愛紗は思う。「こういうの、あったな・・・・。」

路線バスの研修で言った、駅前のバスロータリー。

ふるーい百貨店の二階に、小さな喫茶店がいくつかあって。


静かで、よく眠れたな・・・。



折り返し休憩の時とか、バスで寝ているのも・・・駅前だと難しい。

そんな時、そういう喫茶店で寝てたり。



男子運転士は、バスの中で寝ていたりした。


・・・・そう、あの時も。



深町のバスが、2番線に停まっていて

その中で、彼が最後尾シートで眠っていたのだった。

そこは、外から見えないので

彼は、時々そうしていた。


ひとときでも眠りたい、そういう気持があったのだろう。



その、風船ラッピングのバスの窓を叩いたのが


18歳の愛紗だった。まだ、大岡山に来たばかりで

研修中。


日曜が休みで、駅前まで出てきて・・・。




「思い出すと、恥ずかしくなるわ」と、愛紗は、モノローグ。



菜由は「なに?」


愛紗は「ううん、昭和っぽい雰囲気が、あの、駅前の百貨店の二階の

喫茶店に似てるって思って」



菜由は「そう・・・なんとなくね」



愛紗のファンタジーはそこで途切れた。




その後・・・・深町のバスに添乗して、営業所まで行く間に・・・。


あの・・・「かわいいあいしゃ」事件(?)が起きるのだった。



思い出しても、微笑ましいなと自身思う。



まだ3年しかたってないのにな、と・・・・。

でも、すごく遠い日のように思えた。




友里絵が「ほんじゃ、愛紗と菜由が一番奥ーかな?」


愛紗は「あ、そう?」


友里絵は「麻生?」と、ゴルゴ13の顔真似。


由香は「こまわりくんかいな」


友里絵は「死刑!」と、お尻を突き出して。



菜由は「ネタはいいからさ」



ともちゃんは「おもしろーい」と、にこにこ。



愛紗は「あ、それじゃ、私達が奥、で・・・。」



菜由は「奥さんだし」



友里絵は「自分で言うな」


菜由は「ハハハ」



窓際の一番奥が、愛紗と、菜由。


隣の窓際に、ともちゃんと、さかまゆちゃん。


窓に向かって奥、由香、となりが友里絵。

そのとなり、バティ。


「なんか、こうなるね」と、友里絵。



愛紗は「きょうはコース料理だから、座ってていいし」


友里絵は「あ、そうなんだ」


由香は「麻生」と、ゴルゴの顔真似。



友里絵「それはいいからさ」(^^;



パティは「ヘン顔グランプリ!」


ともちゃん「ハハハ」





落ち着いたレストラン。午後7時少し過ぎ。



木曜日とあって、そこそこお客さんは入っているみたい。


泊り客だけなので、静かだ。


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