第271話 高いトコ好き
友里絵は「お兄ちゃんの写真も送って」と書いた。
「へっへへ」と、得意顔。
お鼻を、ひとさし指ですりすり。
由香「なんだ、キモイ」と、からかう。
指でつっつく。
友里絵は「これで・・・愛紗のウェディング写真も作れるじゃん」
と、ケータイをもって。
菜由「技術有るなぁ」と。
友里絵「うん、コンビニにいるころ、タマちゃんに教わった」
由香「ああ、あの・・・犬の美容院ごっこをした時?」
愛紗「ごっこ?」
友里絵「あ、言わなかったっけ?学校が休みの時に、団地の公会堂で。
資格あるから、あたし。ごっこ、したのね。学校から機材もってきて。
その時にポスターを作ったの」
愛紗は、なんとなく思う。
お店ごっこをして・・・。
友里絵の夢は「好きな人をお店をすること」だったから。
かわいい子。
そう思う。
由香は「写真作ってどーすんの」
友里絵は「この人と結婚しましたー!」って。
歯を出して笑う。ウマかいな。(^^)。
菜由は「そんなのバレるよ」
友里絵「そうかなあ」
かたこん、かたこん・・・・。
坂道を下る、高森線ディーゼル・カー。
♪おてもやーん♪
の、伸びたテープの音が、なんとも、ローカルでかわいい(^^)。
ーー間もなく、終点、立野ですーーー
と、にこやかな声の女の人のアナウンス。
来るとき見れなかった、高い鉄橋の谷川・・を。
ゆっくり見れた。
「ひぇえー、高い」と、由香。
「おー!」と、友里絵。「高いの好き」と、座席から腰を上げて、覗き込む。
由香「バカとケムリは高いトコが好き」(^ー^)
「ネコかな、やっぱ」と、友里絵。
由香「バカネコだろ」
友里絵「バカで結構。うまいもんはうまいんだ」
菜由「これはまた、ローカルな・・・。」
愛紗「なんだっけ、お味噌汁のCM」
友里絵「そうそう、バカの三杯汁って、でもさー、CMの味噌汁。
ほんのちょっとしか入ってないんだもん、あれじゃ30杯は行けるよ」
由香「ウルトラバカだ」(^^)。
友里絵「ピー」と、額に両手、人差し指2本。
由香「エメリューム光線!来たな! 、ピー」と、手を十字に。
菜由「ウルトラマン対セブンか」
愛紗「そんなのあったっけ?」
友里絵「さあ」
がごーん、がごーん・・・と、鉄橋を渡ると短いトンネル。
潜ると、立野である。
運転手さんがマイクで「間もなく、立野です。お降りの方は
お忘れ物、落し物なきよう」
と、きっちりした案内。
「乗り継ぎのご案内。次の上り、阿蘇方面は11時05分、SLあそBOY,宮地ゆきです。
尚、指定席券が必要です。」
友里絵「あ!SL!乗ろう!乗ろう!」と、にこにこ。ぴょんぴょん。
由香「本物は初めてだね」
愛紗「取ってあるから、指定券」
菜由「さーすが、ツアコン。」
しゅー、しゅ、しゅー。
機械ブレーキを掛けて、ディーゼルカーは停まる。
運転手さんは「高森線も、日曜はトロッコ列車が走るんじゃ」
友里絵は「乗りたいナー」
由香「まただな」
友里絵「股?」
由香「オマエはすぐそっちいくなぁ、一週間干からびてるからなぁ」
友里絵「ハハハ、たまには濡らさないと」
愛紗「・・・・・」他人のふり、他人のふり(^^;
菜由「雨降ったじゃん」
由香「上手く誤魔化したなー、さすがはBBA」
菜由「おのれ!」と、言うまでもなく・・・。
由香は開いたドアから逃げた(笑)。
高森線ホームから駆け出して、スロープを降りて
豊肥本線ホームへ。
まだ、SLは来ない。
菜由が追っかけてきて「このやろ!お前らはー」
由香の首根っこを捕まえて。
由香は笑って、勘弁勘弁、と。
愛紗は、立野の駅員さんに予約番号を伝えて・・・指定券を発券。
なんと、手書きである。
緑の紙に手書き。「なつかしいな」と、言って愛紗は、それを見た。
コンピュータが無いので、鉄道電話で熊本駅に聞いた、らしい。
駅員さん、にこにこ「古い駅じゃきんのー」
もう、半袖。
日焼けした顔、がっしりした体型。
いかにも、薩摩の人。
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