第266話 モバイルスイカ

その頃、人吉・日光家。


早々に出かけようとした恵は・・・・真由美ちゃんのお母さんに

捕まって(^^;



リビングに。



お母さんは「この度は誠に申し訳ありません」


と、深々と頭を下げる。



恵も「あ、私酔ってましたので。覚えておりません」



と、ふつうの顔(笑)。




お母さんは「いいえ、そうは行きません。責任を取らせて頂きます。

夫の代わりに息子ではいかがでしょうか?

若いですし。元気です」


恵、驚く。「えー!」びっくりマーク100個。(^^)



冗談がきついなぁと思った。



お母さんは「驚きには値しません。恵さんのお気持次第ですが。

責任を取るには、最適な方法かと思います。」



真面目な顔で冗談(笑)



恵、一応困った顔の演技。



・・・・まあ、冗談だろう・・・・。と、内心(笑)。




キツネとタヌキの化かしあい(^^;



「なによりも、ご本人のお気持が・・・。」と。

定番。


お母さんはにっこり「はい。あの子には私から話しておきますが・・・。

取り合えず、お付き合いしてみては?」


半分マジかも(笑)




恵は


・・・・・ちょっと、困ったなあ・・・・。



そりゃまあ、イケメンだし。真面目そうだけど・・・・。


ねえ、いきなり結婚だなんて。


牛の種付けじゃあるまいし(笑)。




と、少し真面目に考えたり(^^)。





でも、取り乱す人では、ない。


流石は車掌、Train conducterである。


「淀みなく考え、最も安全な道を進め」(国鉄車掌心得)(^^;


である。


なので、恵は最も安全な道を・・・・と。



「わたくしは、このへんで・・・。お世話になりました」と。お辞儀して。



逃げる(笑)。




・・・・いきなりねぇ。

やっぱり、友達になったり、スキになったり。

そういう・・・・経過がないと、なんとなく。



とは思った。


真由美ちゃんは「お見合いも、いいところはありますね」と、言っていたけど。




「でも、結婚するために付き合うってのも・・なんか」


モノモノしいなぁ、なんて思う(笑)。オトメちゃんな恵だったり。




真由美ちゃんのお母さんは

「あら、朝ごはんがまだ・・・。」と言って、引き止めたけど。



恵は、それで・・・日光家を後にした。




出てみて。



「ここどこだっけ?」(^^;



夕べ、車でつれてきてもらったから、わからないのだった。



「まあ、なんとかなるだろう」と。

方角を見て。


低い方へ行けば、川か、街があるかな、なんて思って

歩いた。







友里絵たちは、KKR南阿蘇の206号室にお別れのご挨拶。


「お世話になりました」と、友里絵。

お部屋を出る時に、お辞儀。


菜由「なんか、淋しいね」


愛紗「ずっと居たいけど」


由香「次が待っている!」と、左手を上げて、前を指差す。


「前方よーし」と、友里絵。



由香「雨だからかな、なんか気持が沈みかち」


友里絵「女の子みたいなセリフ」



由香「女だよ」と、空手ちょっぷ!


友里絵「知らなかった」



菜由「ははは、ま、一応みんな・・・♀だろ」


由香「まあ確かにね、生物学的に」



友里絵「おー高学歴芸人!」

と、茶化す。



由香「誰が芸人やねん」



愛紗「バスが10時8分だから・・・でも、早く来るかもしれないし」



菜由「そうだね、早着ってあるね。まあ、出ては行かないと思うけど」



友里絵「並んでないと座れないかな」


由香「平気じゃない?木曜だし。きょう。10時じゃみんな、居ないよ」



お部屋を出て、エレベータで1階に下りて。

ロビーは、がらんと広い。


「もう、誰もいないね」と、友里絵。


由香「そりゃーそうだよ。堅気の衆は働いてるよ」


友里絵「ららちゃんも学校だし」


菜由「電車通学なんだ」


友里絵「うん。でも大岡山でもそういう子もいたじゃん。埼玉から通ってくる子とか」


由香「ああ、なんか・・そっちで行く学校が無くなって。」


菜由「でも入れてくれるから偉いね」


友里絵「大岡山はね。埼玉よりは田舎だし。のんびりしてるから」



由香「友里絵はそこでもダメだった」(^^)。


友里絵「丸出だめ夫」


菜由「それは流石に誰も分からんだろ」



友里絵「がんばれロボコン」


菜由「それは最近」



由香「高校のロボコンってそこから来たって、ホント?」


友里絵「知らない」


由香「あんたに聞いてないってば」



友里絵「一応相方だから」



由香「誰が相方やねん」


愛紗「あ、バス来たね。」



10時6分。



だーれも待っていない。でも、ちゃんと待ってくれる。



「偉いね」と、友里絵。


由香「行っちゃうかと思った」



愛紗「路線だと良くあるものね」



停留所が多いので、途中で早すぎちゃうこともあるから

少し遅めに出て行って。


早く行ってしまうと、乗れない人もいる。





昨日と同じ、小型なバス。

白と青の塗装が、なんとなく国鉄っぽいな、と

愛紗は思う。



このバスは色見先回りなので、駅にすぐに着く。


25分には駅に着くから、35分の下りに乗り継げるようになっている。




「おまたせしましたー」と、にこやかな運転手さん。


中扉から乗る。


200円なので、降りる時に払えばいい。



友里絵は「小銭あったかな」


由香「あたしがあるよ」


友里絵「んじゃ、出しといて」



菜由は「スイカ使えないのかな」



友里絵「西瓜はまだだねー夏でしょ」



由香「西瓜ドロボーが出たりして。」



友里絵「モバイル西瓜だ。ぴょーん」って、飛び跳ねて。


菜由「網あみでね、吊るして」


愛紗「そうそう。川に吊るしたりして」


友里絵「キャンプみたいね」

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