第117話 砂かけ

「砂湯♪砂湯♪ 早くいこー。」と、友里絵は楽しそうに歌を歌いながら。


「キミが遊んでるからだろ、遅くなったの」と、由香は笑いながら。


「文句ばっかいうなぁ、文句っタレババぁ」と、友里絵は笑いながら

「♪~タレババ~、青空~みーなーみーかーぜ♪」と、ヘンな歌を歌う(^^)。



由香も笑いながら「なんじゃそりゃ」



「タレババと40人の盗賊」と、友里絵は続く。



「それはアリババだろ」と、由香も楽しい。



「ターレババ♪ターレババ♪ターレババ♪ターレババ♪」と、友里絵。


「何歌ってんじゃ。ホレ、着替えて行くぞ!」と、由香は

部屋にあった浴衣、レールの模様のそれに着替えて。タオル持って。



「早いなあ支度。」と、菜由も驚く。



「現役ガイドだもん」と、由香。


愛紗も「そっか」と、いつも着てる部屋着のジャージに着替えた。



菜由は「それ、いいね。」



愛紗は「そう?丘の上温泉で深町さんと、田村さんにあったっけ。これ着てて

ちょっと恥かしかった」




友里絵は「ああ!大岡山の。田村さんも言ってたな。『あの2人はカップルなの?』って

東北弁で。



愛紗は恥かしい。思い出しても。

まだ、研修初日の事だった。

日勤で終わるので、まだ温泉が営業しているから

部屋着のまんま行ったんだった。




菜由は「それで、何て言ったの?」



友里絵は「あの2人ならお似合いだよね」って。



由香は「へー。」


友里絵は「屁?」



由香は「んな事言うか!これ!行くぞ!」と、友里絵を置いて。部屋を出た。



菜由も「じゃ、あたしも」と、浴衣に着替えて。



愛紗も「それじゃ、私も浴衣にするかな」と、ジャージを脱いで。






砂湯は、一階の、ロビーからのスロープを下がったところにある。

半地下、みたいに見えるけど

敷地が斜めになっているので、そのまま凹んだところが温泉、砂湯になっている。


砂湯も、つまり海岸の砂がそのまま・・・と言うワケ。



一階から降りていくと、サンダルに履き替えて。

外に一旦出て、別棟が温泉。その外が砂湯。




「砂湯って、パンツ脱ぐのかな」と、友里絵。


「好きにしろ」と、由香。



「だーってぇ。脱いだら挟まっちゃうじゃん」と、友里絵。



「バカ!聞こえるぞ。向こうは男湯なんだから」と、由香は

砂をつかんでかける真似。


「出たな、砂掛けババぁ」と、友里絵。


もともと、怖い話は好きな子(^^)



「さっきから、ババぁとはなんだ!トシ一緒だろ、こいつ」と、由香は

友里絵に抱きついて。





そのふたりの前を、砂かけのおばさんが。とことことこ・・・・。にこにこ。「いらーっしゃい」



由香は「あ・・・あの、砂かけばばって、おばさんのことじゃないんです。わたしのこと」



おばさんはにこにこ「わかっとるわ。ハイ。ここはね、砂浴びの浴衣があんの。中にあるから

着替えてね。」



友里絵は「パンツも脱ぐの?」


おばさんは「ハイ。大丈夫よ、挟まんないよ。」と、にこにこ。



友里絵は「挟まんないって」



由香は「どこに?」



友里絵は「それは・・ねぇ。愛紗」



と、黙って漫才を聞いていた愛紗に。



愛紗はどっきり「え、あ、それは・・・あの。」




由香は「そうやっていじめるからぁ、愛紗はガイド辞めるって言うんじゃ!こら!」と

友里絵をひっぱたいた(^^)




菜由が「隙間でしょ」と、平然と。



友里絵は「さーすが。既婚者。」


由香は「落ち着いてるもんねぇ」



友里絵は「使用済みだもんね」



菜由は笑って「使用済みとはなんだよ」と、砂を投げるまね。



友里絵は「ほれ、砂掛け・・・」ババといおうとしたけど。

砂かけのおばさんがいるので、止めた。



(笑)

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