第7話 横浜、定時!

長い客車なので、カーブでは結構

傾くように感じられる。


先頭では、機関車EF66ー54が

ギアを唸らせて、5200psを

控えめに伝えている事だろう。


まだ、速度制限がある。



すぐに、横浜だ。



品川から川崎、横浜の間は

結構間があるけれど


停車しなければ、あっという間に

感じられる。



川崎を過ぎると、蒲田。



愛紗も、いつだったか、中華の美味しい

お店に行った事があった。



そんな事を、個室の窓から

のんびり眺めている。




鶴見の辺りまで来ると、少し閑散としてくる。




直線なので、少し速度が上がる。




愛紗は、ちょっとロビーカーを

見たくなった。


さっき、車掌さんとお話してて

見そびれたの。



個室を出て、鍵を掛けて。



でもまあ、鍵だけ持って行くのも変なので

小さな袋もの、か、何かを

持ってると便利かな、なんて思う。




普通、なにかかわいいのを持っていくといいけど。なんて思って。



思っただけで。(笑)


そのまま、8号車を目指す。



ここは10号車なので、隣の隣だけど

結構、遠く感じる。




結構揺れるのだ。



東海道線、このあたりは通勤路線のせいか

レールが結構疲れてるようだ。




ガラス扉の、客室ドアが自動で開くのは

結構高級感がある。

9号車側には、トイレが右に二つ

左は洗面所だけど、新幹線のように

ひとつづつ仕切りがあって、カーテンも

掛かる。



内装はピンクで、可愛らしい。



なんとなく、微笑んでしまう。



連結機を越えて、9号車は普通の寝台車。



土曜日なので、結構乗っている。


それでも、個室寝台車がまだ乗れたのは

ラッキーだった。



普通は、発売日に売り切れるのだけど。



廊下の窓の下にある、折りたたみ椅子は

ユニークで

壁収納である。



それを引き出してると、廊下を歩く人が

来たら譲る。



そういうマナーが当たり前の時代のもの、だった。




さて、ロビーは8号車。



連結部分は、普通のスライド扉だけども、

寝台車は、客車扉はあるが

連結部分にはないのが普通。



ロビーカーは、元々

客車からの改造なのだ。



扉を開くと、赤いモケットの椅子と

ソファーはふかふかで

カウンターテーブルがあり、ちょっと

なんというか、1970年代の

バー、みたいな感じ。


窓際はスツールがある。


カウンターテーブルの向こうは、さながら

バーテンダーのスペースみたいだ。



時間旅行をしたみたい。


愛紗は思うけど、でも、故郷へ戻ったみたい。



田舎のお店って、その頃から

改装していない所が多いから。





お酒は置いていない。


代わりに、その向こうの

デッキスペースに、ビールとかの

自動販売権、それと

公衆電話。



車両が作られた頃は、まだ携帯電話が無かった時代だったのだろう。




よく見ると、無線式なので

通信状態で途切れると但し書きがある。


今は当たり前だが、公衆電話で

無線式のものは珍しかったのだろう。



高い山の上、くらいのものだろうから。




列車は、トンネルに入れば

当然、電波は途切れる。



鉄道無線を使えば良さそうなものだが、

そうもいかないのだろう。

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