第790話  眠い

「そろそろ寝ないと」リサは、揺れる13号車、ミニロビーから立ち上がる。


区切られたスペースだし、個室寝台車なので

気兼ねはない。



その時、白いスーツの車掌、リサのおじさんが通り掛かる。




「リサ坊、起きとったのぉ。早く寝ろ。」と、おじさんは、鉄道職員らしい率直さで。



「おじさん、あたしはバイトじゃないの」と、リサは言い。笑顔。





ああそうか、と、おじさんは帽子とって笑顔。



「車掌さんって、ずっと起きてるんですか?」めぐが尋ねると




「なも。寝る。駅の間が長いとこでの」と、おじさんは笑う。




仮眠、だけれども。




それでも、せいぜい2時間くらいだ。






「それだと、ミシェルには辛いかもね」と、リサは気にする。





「3年経ったら、夜行は無くなる、たぶん」とおじさんは、笑顔で。




でも、ちょっと淋しいような笑顔で

そう言った。



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