第789話 おとぼけ

おとぼけ神様は、そんなめぐたちの

気持ちも知らず



楽しい、列車の旅を満喫。そろそろ山陽の

岡山あたりに来たところ。




寝たり起きたりで、うつらうつら。



「しかしのぉ。人間と言うのも楽しみがあっていいのぉ」



ひとを愛したり、時に憎んだり。

生きてこその喜びだ。


神様になると、そういう心とは無縁になる。



もちろん、博愛はあるけれど。




「めぐや、リサたちが羨ましいのぉ」





サンライズエクスプレスは、岡山で瀬戸編成と連結される。



出雲編成は、ここまで4時間ほど乗れて

かなり楽しめるから


わざわざ、遠回りして

神様は、これに乗った。





「めぐは、いまごろどこを走っているのかのぉ」




魔物に襲われて、心を傷つけて。

天使クリスタがずっと、宿って護っためぐ。



「でも、命が危なくなって。」



2回めの人生を送っているんだったと

神様は思い出す。




その時、時間を巻き戻して

魔物の記憶を知らない、新しい人生を

送るようにさせたんだっけ。





そこで、はた!と

神様は気づいた。



「あの時の、めぐの旧い魂は、どうした?」





ひょっとして、あのミシェルが死にそうだった時に。






「慌てて、リサイクル魂(笑)を

入れてしまったのかのぉ」






と、おとぼけ神様。




「まあ、氏より育ち、と言うからの」





それからの経験が人格を作るから。



生まれはどうであれ、育ちが大切なのだ。


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