第788話 ふたつ

「ミシェルね、ちっちゃい頃は

いつもあたしの後をついてきて。

うっとうしいくらいだったけど、でも

かわいくて。カルガモのひなみたいで」と


リサは、思い出を楽しそうに話す。




「だからかな、女の子みたいなやさしい子で。

あんまり、ガールフレンドとかも欲しがらなくて。

けっこう、モテるのよ、あれで」





リサは、お母さんみたいに(笑)



めぐも、なんとなく分かる。



「今も、女の子みたい」と、めぐが言うと





「そう!ちょっと心配してたんだけど、でも、大丈夫ね。めぐに婚約したいなんて

言うくらいだから。


そっちの欲もふつうにあるのかな」と、リサは明け透けに笑う。






「そう!」と、めぐも笑った。



「それじゃさ、ミシェルのお部屋になんか、Hな本とか隠してあったりした?」と


(笑)楽しい話題を振ると、リサは





「そういうのは見ないなー。今は、ほら、ケータイで

見てるんじゃない?」と。





なるほど、と、めぐも笑ったけど




でも、なんとなく触れた感じでも

男の子っぽくなかったな、と



めぐは、感触でそう感じる。












ミシェルは、ひとりが好きだった。



学校でも、あんまり

男の子の友達とわいわい、するタイプじゃなくて



本を読んだり、音楽を聴いたり。



音楽室でピアノ弾いたり、って



そういう記憶が多い。




「僕は、いつからめぐさんを好きだったのだろう?」



揺れる列車のベッドに横になって、ミシェルは回想する。





最初は、お姉ちゃんの後を追っていて。



いつの間にか、お姉ちゃんの

代わりになっていたような、そんな気もする。




お姉ちゃんみたいな、恋人が


僕は欲しかったのかな、なんて



そんなふうに、ミシェルは思った。



クラスメートに、ガールフレンドも多かったけれども




他の男子みたいに、エッチな視線で

女の子を見る事はなかった。



服装とか、髪型とかは気になるけれど。



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