第780話 親戚

寝台列車の廊下は、スリッパで歩けるように

バリアフリー(笑)になってたりして


でも、静かに歩くのはたいへんね、なんて


めぐは思った。



みんな、寝てるのかしら?



カーテンを閉めているベッド、いくつか。





10号車の、ミシェルの個室に行ってみたけれど


鍵が掛かっていて。



ノックしたけれど、返事がないし

ひとの気配がない。




「どこ行ったんだろ」とりあえず、食堂車の隣のロビーかな、と


8号車へ向かった。




電気が暗くなっていて、テーブルが片付いている食堂車。


カウンターにはスツールが備え付けになっている。





そこに、ミシェルはひとりで座っていた。





時折、駅を通過すると

明かりが窓から流れて来て、ミシェルの全身に

明かりの形を写した。




時と、思い出が

彼の全身を通過してるみたい、と


めぐは思う。






ミシェルは、めぐに気づいたけれど



でも、元気無かった。








「あのね、ミシェル。怖がらなくていいの。私もね、同じ仲間なの。」



最初は戸惑うけど、これは超能力とかじゃなくて

魔法なの。大昔の科学なのよ。


それを、あたしたちは受け継いだ。











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