第587話 mechanical
ひと気の少ない、ディーゼルカーは
床下でエンジンが回っているので
少々、騒々しいけれど
それが、都会の電車に慣れていると
かえって、旅に出た気持ちになっていいものだ。
旅先の人達にとっては、それが日常なんだけど。
ディーゼルカーは、発車時間なのか
ホームのベルが鳴り、空気が抜ける音がして
ドアが閉じた。
ドアは、空気で開閉するのである。
ドライバーが、ブレーキを解放すると
車両は、ゆらりと動きだし
エンジンの回転が僅かに高まる。
ゆっくり、ゆっくり。
ディーゼルカーは動き出す。
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