第369話 scheff

攀じ登るように、客車に昇った先は

食堂車のお勝手口と言う感じのところ。



行き止まりのキッチンの奥は、石炭のコンロがあって

オーブン。


手前の両隣にはパントリィ、調理台。




短い髪の料理人さんが、ふたり。


お芋の皮を剥いたり、人参をささがいたり。




黙々、でも

楽しそうに働いている。




「こんにちはー」と、

れーみぃとめぐが言っても、ちら、と黙礼した程度で



指先に集中している。



その、お芋の皮むきの

手早い事。





感嘆の声をあげそうになっためぐだったけど



なんとなく、神聖な仕事場を邪魔しそうで(笑)。




食堂車の、ダイニングの方に

出ると



白い、シェフの帽子をかぶったおじさん。




「やぁ、お嬢さん方が専務さんのご紹介の?」と


にこやかに、太ったお腹を揺すってた。






「はい、わたしはめぐ、こっちはれーみぃ」と



めぐは、簡単に自己紹介をして。





料理長さんは「はい。じゃ、そうだね。テーブルのセットと



お皿洗いくらいかなー。



準備はね。





汽車が走ると、お客さんが乗って来るので

忙しくなるんだろうね、なんて、めぐは

れーみぃと話す。





あの料理人さんたち、なんとなくカッコイイ、とか

思ったりしながら(笑)。




れーみぃにそれを言うと



「はい!そう思ってました。

でも、めぐの好みは


料理長さんでしょ?」なんて言う

れーみぃ(笑)。





「えー?そうかなぁ」なんて

めぐは返したけど(笑)。





そうかも(笑)なんて思ったりする。


ひとの魅力って、見かけや年齢じゃないし。




どっちかと言うと、そういう安心感、みたいなのが

めぐの好みだったりもする。

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