第368話 ふたり

その、汽車の中の食堂車で

働くアルバイトは


めぐたちにとって、もちろん初めて。



だから、楽しみだけど




「一晩だけじゃなくて、ずっとやってみたいよね」なんて


Naomiは言う。



もちろん、半分冗談だけど(笑)。




でも、旅から旅の暮らしと言うのも、なんとなく憧れたりもするのは


そういうお年頃。




エネルギーが余ってるから、新しい事を

してみたいのだ。





誰もそうで、だんたん年をとって来て



エネルギーが少なくなってくると

そういう気持ちも減ってくるから


区長さんや、リサのおじさんのように




そういう若者たちを、優しく見守るように

なってくるから



世の中は、良く出来ている。






「メイドさんの服って着てみたかったなぁ」と


めぐは、まだ何か勘違いしている(笑)。





「汽車のメイドさんって、ボーイさんの事でしょ」と



れーみぃ。





「おばちゃんたちもメイドさん?」と




めぐが聞くと、



さっきまでのノーススターの

ハウスメイドをしていた

おばちゃんたちは、にこにこ。



でも、みんなふつうの作業服だったり、




「なーんだぁ」と、めぐは

ちょっと残念そう。




「食”堂車”のウエイトレスの服”ならあっけどなぁと




リサのおじさんは、紺色で

裾のところに白いアクセントのついた


ウェイトレスの制服を、ほい、と


持ってきた。





「いやだ、おじさん!」と

めぐは、その制服を、無造作に掴んで来たおじさんの手が



触れているので。



なんとなく、いやだと



思う、その



センスも、めぐ独特のものだったり。(笑)。






でも、若い女の子って

そうかもしれない。




女の子っぽい服装の、その制服に



男らしい、おじさんの手が

触れているのが、なんとなく(笑)。





違和感(笑)。




「まいねまいね。」と


リサのおじさんは

、素手で掴んだ事を


失敗した、と思ったり。







ビニール袋かなにかに入ってるのを

持ってくれば良かった(笑)。と



思ったり。



そういえば、おじさんの娘たちも


そんな感じだったっけ、なんて



おじさんは、記憶の中の娘たちの姿を

ちょっと回想。


旅暮らしだから、時々しか

家でのんびりできない。



それは、仕方ない事だけど


気づけば、めぐくらいの娘がふたり、いたことを


めぐの、かわいらしい反応で思い出した。







こんど、非番の時に。




どっか、連れてくかな。


なんて、愛する者を



守る気持ちに



リサのおじさんは、なっていったりする。






これから乗務して、家のある町へ戻る。





それが待ち遠しくもあったり。

線路から、客車に乗り込むのは

結構大変で


ふだん、プラットホームがあるので

その有難さを感じる瞬間だったりする。


ステップを、地面からよじ登る感じで


客車のドアにたどり着く、と言う感じ。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る