第317話 friends and strangers

土曜なので、電車は割と混んでいた。


めぐたちと同じように、レジャー(笑)の

学生たち。


めいめいに、秋らしい

服装、

なんとなく、落ち着く色合いが増えるのも


面白い。




一様に、女子学生たちは

おしゃべりに余念がなく



それが楽しみだと言うのか



どーでも良い事を話している。(笑)。





幼い子を連れたお母さん、ディズニーランドにに行くのだろうか



子供は、お耳のついた帽子で、にこにこ。






電車は、間もなくドアを閉じて


発車する。



レールの継ぎ目を越える時の

衝撃、それは

いつの時代も変わらない。



リサは[おじいちゃんも、このレールの継ぎ目を

いくつも越えながら

生きて来たんだな、と思う。





そして、リサ自身が


いくつもの、レールの継ぎ目を越えていく。



学校を卒業して

国鉄の試験を受ける、なんて言うのも

継ぎ目のひとつだろう。



きょうは、同じ列車で


4人一緒。


でも、いつかは

ばらばらになるんだな、なんて

リサは、やや感傷的(笑)


秋のせいだろうか。



そういう、四季のリズムも

人間の生理にはあって


それを、circle-year-rhythm、なんて言うけれど



環境に四季があるので


食べ物の多い時期に、繁殖をして

子供を育てて、なんて言う


生態的な、行動の名残である。



なので、日没が早くなる時期には

行動を抑制する傾向に


生理が働くので



やや、淋しい感じになったりする。




秋は、そういう時期だ。



芸術に勤しむのも

よいかもしれないが



そんな理由で、リサは

情緒的であったりする。






「ディズニーランドいくー」と



幼い女の子が、お耳のついた帽子で


そんな事を言う。




母親は「きょうは、おばあちゃんのとこにいくのよ」と



言い聞かせていたりする(笑)。




よほど、その子は

ディズニーランドで楽しい事があったのだろう



「いまいくー」と


窓の外を見ている。





ディズニーランドは、

この列車の終点の、少し手前だ。




なので、幼い記憶は


この列車に乗ると=ディズニーランドを

連想するのだろう。






「かわいいね」と


Naomiは、そんな幼い子を見て言う。



「あんまり、変わらないか!あたしたちも。

ディズニーランド行く、って言ってたもんね、誰か(笑)」などと

Naomiも、楽しい。




でも、ディズニーランド行くんだったら、一日行かないともったいないね、って

誰か言ったんだっけ。





「それで、ビール園行こうって

Naomiが言ったんだっけ」と



れーみぃが言って、みんな、笑顔になった。






ディズニーランド、と言う言葉を聞いて

幼い女の子も、めぐたちのほうをみたり。



関心のある言葉は

その人にとってよく、聞こえたりする。



自分の名前、とかもそうだし。



その子は、ディズニーランドの言葉を

よく覚えているのだろう。



幼い子でも、そういうふうに、言葉を覚えていたりするのは

不思議な事だ。









「ビール園って、未成年も入れるのかなぁ」と、リサは言う。




「たぶん、ダメでしょ」と、Naomi。




「なーんだ、分かってて言ったの」と

めぐ。




和やかな雰囲気で、電車は走る。





行く手の国鉄本社で、何が待っているのか?

まだわからない、そういうちょっと不安感もあったりして。




リサは、すこーしだけ緊張。



でも、そんな時に

友達が一緒なので、心強いな、なんて

思ったりもする。

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