第298話 beside

社会を持って、人間として生きるようになってからの時間は相対的に短く、


反対に、人間に進化するまでの時間の方が長いから




自らの身を守り、戦うような

そういう機会が、いまの社会ではほとんどない。


なので、行動力が余ってしまう。



そんな理由で、運動をしたり、スポーツを

しないと

心が、不健康になっちゃったり。





リサは、そういう点スポーティーだから



健康的、なのだろう。





めぐは、本が好きだったりして

普段から、空想に心を遊ばせる事に慣れているから


いろいろ、見聞きした事などを


連想してしまったりする。




それは、癖、みたいなものだけれども




そのせいで、魔法をうまく使えたりもする。





いまは、魔法を疎ましく思ったりもしているようだけど。







ひととは違う能力のある人は

だいたいそんなもので



その能力の有り難さに

気づかなかったりする。




めぐも、そうなのかもしれない。









ミシェルに慕われて、いいお姉ちゃんの

役を演じるのにも疲れてしまっためぐ(笑)は



でも、泳いで来たので

結構、健康的に疲れた、そんな思いで



家路を辿る。





と、言っても

坂道を下るだけ、なのだけど。





きょうは、リサもミシェルも一緒だから



歩いて下って。



畑の中の道を、



いつかルーフィが

初めて来た時のように

歩いた。




ほんの少し前なのに


とても、遠い思い出のような


そんな気がするのは



めぐが、時間旅行をしたせいで



その短い間に、沢山の経験をした

そんなせいもあるだろう。





確かに、それは疲れてしまいそうだ(笑)。







「ミシェルはさ、うちの学校に志願したいんだよね」と

リサがからかう。





無理よ、女子校だもん、って

笑いながら。



「お姉ちゃん!」と

ミシェルは怒る。






「ほんとなの?と、めぐはびっくりした。

リサの冗談だと思ってたのだ。






「でも、うちの学校に来ても

大丈夫っぽいし。


女の子に人気出るんじゃないかなぁ」と、めぐも冗談半分に。



ミシェルは、困ったような顔をして


「行かないです。ただ、めぐお姉さんと一緒の学校だったら楽しい、って言っただけで」と



ミシェルは、むきになって怒る(笑)


そんなところも、少年らしくて

とってもかわいい。




優しく、なでなでしてあげたいような

そんな少年。





でも。「ミシェルが来る時は

卒業だもん」と、めぐは

残酷な現実を(笑)。






「タイムスリップが出来たらいいのに」と

ミシェルは、SFのような事を言うけど




この3年あと、めぐがタイムトラベルして


ミシェルの願いを叶えた事になる訳で(笑)。




願えば叶う事、ってあるんだな、と

めぐは思う。


ミシェルの願いを、神様が叶えてくれたのかな(笑)

なんて。





ミシェルの

その思いは、この時からのものだったの。


と、めぐは、改めて

ミシェルの一途な思いに、感心した。






そのくらい、人を思ってみたいな、なんて(笑)



めぐ自身が、ルーフィの事を

少し前、思ってた事なんて


もう忘れて。



 

そうして、楽しい一日を終えて

めぐは、家に帰る。


「ただいまー」と、言って


お母さんは、いつものように「おかえり」と

忙しいのか、キッチンから出てこない。


おばあちゃんは、リビングで何か、ラジオを聴いてて


「おや、おかえり」と。にこにこ。


FM放送だろうか、静かな交響楽。

美しく青きドナウ、とか


定番の音楽だけれども、長く愛されているだけに

いつ聴いても、心惹かれる音楽だ、と

めぐも思う。





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