第297話 a tempo in tempo

会話はテンポなので、


めぐみたいに、物思いに耽ったりすると



ちょっと、テンポが外れた感じになったりして



その、アウトテンポ感は、若いリサたちは

ふつう、敏感だから



テンポが前乗りになってしまうのは

バンドアンサンブルを

た人には、よくわかる

あの感覚である。




声が大きくなるのも、それと同じで


自分のテンポを保つ、と言うより

相手のテンポと競い合う感じだ。


それが若さ、行動力の証である。


なのに、めぐはそのテンポ感に

合わせないあたりを




リサは「おばあちゃんみたい」と

評した。

(笑)





めぐは、もちろんおばあちゃんではないのだけれども


同じ年齢のひとよりも

時間旅行をしたりして


経験が多くなっているから


そのせいで、考える事も多くて。




それを、めぐ自身「老けちゃうから、記憶を

消しちゃいたい」なんて(笑)思うくらい。






「あ、ごめんごめん、ちょっと

物思いの秋だから」と


めぐは言って。


「まだ夏だよ」と、リサに言われて



そっか、と笑って。




物思いを打ち切った。


でも、気になるのは

やっぱり、この時空間、



神様が粛正したのとは別の

理由で、時空間が歪んでいるのではないかな?と言う疑問だったりした。



ふつうに、一体して見える時空間が

多重していて。




空間軸がふたつある、そんな例。



リサに、弟がいたり、いなかったり。




そんな事ってあるのかなぁ?と

めぐは思う。




「ねえ、リサってさ、ミシェルの

お姉さんだよね」と、聞いてみたりして





リサは「そうよ、なに言ってるの?

変なめぐ?」と



快活に笑うリサは、いつものリサだ。




やっぱり変なのは、めぐの方なのだ。




「魔法なんていらないよ、まったくぅ」と

めぐは、心の中でつぶやいた。





こんな面倒なもの、いらない!と



めぐは、魔法をしばらく封印しようかと思ったり。





未来の事も忘れて。



ふつうに、女の子として毎日を暮らす方が

幸せ。





そんなふうに、気まぐれに思った。



そこは、18歳である。








ミシェルは、そんなめぐの様子を

恋する者の観察力で、察している。


でも、魔法使いだとは

いくら恋する者でもわからない。




滝のように流れるプールの中で、波に揉まれていると


それどころではなかったりもする(笑)



自然の中で、我が身の安定を計るのは


基本的な、生き物としての行動であるから



頭で、余計な事を考えないだけ


その方が健康的である(笑)。


そう、人間の社会は複雑すぎるのだ。

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