第286話 feel like makin’ love

プールに入る前に、めぐはちょっと408号室が気になって(笑)。



こちらの世界では、泊まった事もないんだけれども。

それが、並列世界の面白いところで

地上の座標は似ていたりして。



空間は、必ず真っすぐには座標が取れないので

どこかが歪んでいるから

その歪みが重なるところで


行き来したりするのが

めぐたち魔法使いだったり。




408号室には、人はいなくて。



その、ドアを見ていても

めぐには、懐かしい。



ふつうのひとには、ただのドア。


思い出って、そういうものかもしれない。





泊まり客エリアに、入ってしまっているめぐは



それでも、かわいい女の子だし

おとなしいから

別に迷惑にも思われてはいないようで




ホテルのひとも、咎める訳でもなく

通り過ぎて行く。




めぐは、その

何も変わっていないような雰囲気を


感じながら。


でも、異なる空間に居る自分を不思議に思いながら



プールサイドへと向かう。








プールの方のエントランスに戻ると


リサと、ガスパールではなく(笑)

ミシェルが待っていた。




「ごめーん、待った?」と

めぐが言う。


リサは、にこにこして「どこ行ってたの?まだ2時前だもん。あたしたちが早いの。」と。




ミシェルは、ちょっと俯き加減に、「こんにちは」白い頬は、夏なのに真っ白で


うっすらと赤みがさしていたりする。




かわいらしい、フランスのお人形みたいな

少年。




この時は14歳で、17歳になった時の

あの、男の子っぽい片鱗を見せるような


雰囲気は微塵にも感じられない。





いつ、どこで

ミシェルはあんなふうに

なっていったのだろう?と

めぐは、未来を知るので



そんなふうに思う。





同時に、おじいちゃんの訃報は

ミシェルをどう変化させたのだろう。







たぶん、お姉ちゃんの悲しみを知って

ミシェルは、お姉ちゃんを護ろうと


男の子らしく、自立を始めた

結果、めぐを意識するようになった。






そんなところだろう。





男の子の自立と言っても、基本的には

生き物であるから



生物行動学で言えば、群れ、と言うか


家族、バンドを率いる行動力であるから




例えば類人猿の隣人たちで

小さい群れを作るタイプで言うと



群れをリードする存在になると、体が

ホルモンで変調する。



環境によってそれが起こるのである。


内分泌、と言う不思議な仕掛で

それが、同時に愛を自立させる。



自分だけのひと、を愛し求めるようになるのだけれども


つまり、リーダーは種を保存する意味でも

愛を求めるのである。






そんな理由で、ミシェルは、めぐを

愛するようになったのかもしれない。





ーーーーと、めぐが思っている訳ではないが。(笑)





この時は、まだまだかわいい少年である。





よしよし、と

めぐでも

撫で撫でしたいような


そんな少年だったり。








じゃ、泳ごう?」と


リサは、3人バンドを引っ張る。



バンド、と言うのは

音楽の、それに似ているけれど

本来は、生態学のような

複数の固体を関係づける用語である。




関係があって、結び付いている


ここでは

、めぐたち3人の事は

バンド、と表現できるのであろう。

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