第283話 autumn

その記憶と言っても、ふつう、時間軸も


空間座標も曖昧だから

どこの、いつの出来事か?は、いい加減。



なので、めぐの場合も

神様が、魔物に襲われた、不幸な記憶を

消してくれた。



と言うより、17年分の時間を逆転させて

早送りしたのだけれども


なんで、めぐにだけ?

と、めぐは思ったりもするけれど



魔物に襲われるのは


特別な事だし


神様にも、人間界の平穏を守る


おつとめがあるから。




なので、例えばクリスチャンは

神様を讃える訳で。


役に立たない神様だったら

そんなに有り難いはずもない(笑)と言う

至極わかりやすい理由もある。




みんなの為に、働くヒーローなのである。




そんな訳で、人間界に迷い込んだ

魔物を

なぜか魔王が退治して(笑)



それを知らなかった神様は、めぐを

特別扱いにした、と


そんなところ。




そのせいで、めぐの周りの人々にも

めぐの記憶がふたつ、できてしまう事になるので




それで、17年の時間を巻き戻したらしい、

人間っぽい神様である。









めぐは、時間ができて


夢の中に旅する事もできるから

それにいつか気づくかもしれないけれど。











「じゃ、学校終わったらプールね。」と


めぐは、こないだおばあちゃんに買ってもらった


レモンいろの水着を着て行こうかな、なんて

思ったり。





向こうの世界では、マジックスターになってしまって


プールも楽しめなかったから(笑)。






ホームルームのあと、クラブに出たいひとは出て

帰りたいひとは帰ると言う

なんとも、自由な時間割で



めぐは、リサとの約束ができちゃったので

まっすぐ、お家に帰って。




そのあと、裏のプールに行く事にした。





行く夏休みを、惜しむ意味もあったりして。




18歳の夏休みは、もう来ない。




そんな思いもあったりして。







まあ、めぐは時間旅行で

戻る事も、出来たりするけど。







スクールバス、時々乗る

赤いおやねのかわいい、おはなのバスに


「暑いから、涼んで行こうかな」と


めぐも、乗って行く事にした。



発車時間までは

、少し間があるので



並木の下で、涼んでいたり。




木陰だと涼しい、高原のような

風が渡って来るようになると


もう、秋がやって来る。





なんとなく、淋しいような


そんな気持ちにもなる。



秋は不思議。





めぐは、そんなふうにも思う。

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